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4.タイムリープした俺氏、己が人生を振り返るのコト。4

本日最終分です。

 

 担任は、担任として最低最悪な形で復讐をしてきた。


 中学受験に向けての「内申書」の作成を、サボったのだ。


 しかも、直前の個人面談さえ、我が家にはその()()すらもアナウンスしないと言う暴挙に出たのだ。


 結果として、俺の「中学受験」は、始まる前に全て()()()()()()


 まあ、今となっては、()()は良い。むしろ、此処で中学を公立で過ごす事での()()()の方が、俺にとっては生涯の恩恵であったのだから。


 翻って思い返せば、つくづく「学校」と言う物に縁の無い人生だった。


 小学校での教師運の壊滅的なまでの縁の無さは元より、遡れば、幼稚園も第一志望は抽選で弾かれ、第二志望と言うか、他に選択肢の無いお寺に併設された「仏教幼稚園」に辛うじて入園。費用は第一志望より倍近く掛かったと言うのは、大人になってから初めて聞かされた衝撃の事実であった。


 高校受験の時は、志望した私立高校が軒並み成績とは違う理由で尽く弾かれ、内申点も他の公立を第一志望にした者の為にかなり削られた。結果として、偏差値50近辺の公立高校に、試験一発で見事合格したものの、内申点がそのままなら、もう一段上の学校に入学出来ていた筈なのだから、もう学校関係に関しては「呪われている」としか思えない生涯であった。


 尚、大学に関しては、家庭の事情でそもそも受験すらまともに出来なかった。とはいえ、この頃には既に学校と言うモノに対してある種の「諦観」の心境でもあったので、むしろ早々に社会に出れてラッキー位にしか思って無かった。


 その代わりと言っては何だか、この頃、貰った給料の大半は「書籍代」に化けていた。給料注ぎこめば、それこそ欲しい本は何でも買えていたのだから、面白くて仕方なかった。


 新刊本や雑誌の類は神保町で早売りを購入し、高い書籍に関しては全国のブ○クオフを次々と梯子して、欲しい本はありとあらゆる手を尽くし手に入れてきた。


 読む本も、最初はラノベや漫画、雑誌が多かったが、やがてネタが尽きると、ドンドン新たなジャンルを開拓していった。読んでいなかったのは、所謂「古典」だけだろうか?


 ビジネス書から各種ニッチな業界本。自動車雑誌から派生し、最後は航空力学の専門書。当時人気の週プロから3誌紙、果ては古典、近代問わずあらゆる思想書。


 その頃の俺は本職が「雑文読み」と言っても良い位、読書に嵌まっていた。当時購入する書籍が週に40冊強。月に150冊以上は確実に読んでいた。年に1800〜2000冊。売りに出す本が年間同数程度。それが約15年程続いて、何しろ片っ端から脳味噌の中にぶっ込んで来た。


 何しろ、本と言うモノは、赤の他人の人生の一部を己の物として取り込む事の出来る現実世界では唯一の手段である。まるで、チート転生者が魔物や悪人のスキルをドンドンと「強奪」していくかの如く、このチートな「俺」を作っていく作業が楽しくて仕方なかった。


 読破した本の数が「万」を超えた頃、俺の中で劇的な変化が訪れた。


 何を読んでも、過去に読んだ本に繋がっているかの様な錯覚に囚われた。


 何かを読むと、過去に読んだある事象についての疑問だった部分がスルスルと回答を得たかの如く深く理解出来る様になった。


 そうすると、無駄な物はこの世に何も無いと言う気持ちにもなって来た。


 人生、万物が「師」。


 そう思い感謝の念が湧き出ると共に、あらゆる事に対する「理解」が深まった。


 この頃が、俺の人生に於いて最大のピークだったかも知れない。


 深まった「理解」は、「鎧」にして「武器」となり、過去最強の自分が誕生したのである。


 自惚れ? そうかも知れない。


 だが少なくとも、此処まで自己研鑽に己を注ぎ込んだ「個人」と言う物を、俺は他に知らない。


 ある意味狂っているとも言えるかも知れない。


 だが、ある意味「全ての学び舎からソッポを向かれ」続けたご褒美がコレならば悪くは無い「人生」だったかも知れない。


 閑話休題、って、イヤイヤ! 


 タイムリープして小学生になっちまった以上、小学校時代は過去の思い出ぢゃ無くて、歴とした今、そこにある「現実」なのである。


 今更、当時の奴らに復讐を果たしてやろうと言う気持ちも無いし、或いは、復讐しようと思えばそれこそ当時の俺と担任の身体能力格差以上の「精神的アドバンテージ」がある。無論、勝つのは「俺」だ。


 だから、破滅するまで「追い込む」のも、正直大人気ないし、何よりも面倒くさい。


 だが、だからと言って何をやられても大人しくしてると言うのも、それはソレで業腹である。


 結論、


 戦略目標としては、破滅するまでは求めないにしても、ウザッたく無い位には大人しくさせたい。


 結果として、こちらの邪魔にならない場所で大人しく「破滅」してくれるならば、それこそ重畳と言うモノである。


 その為の方策として、


① こちらから距離を取って知らん顔する。


② こちらに手出し出来ない様に「他所」に敵を作ってやる。




 ①については、かつての親父の意見に従う事になり、不本意と言うか、業腹である。どちらかと言うと②の方が性に合っている。


 だが、それにはこの学校時代の俺の環境下では、足りないモノが多すぎるのだ。


「先ず、手始めにやるべき事は……」


 そう。


【実弾】の確保が最優先だな。

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