11.いじめられっ子返上を図る為、先ずは準備に勤しむのコト。
誤字報告ありがとうございます。実際利用してみるとありがたいシステムですね。
な、なんと! ローファン日間55位!? 一体何が起こっているのでせうか?
そうして、アキバでの準備が一段落すると、俺はゴールデンウィーク明けの「家庭訪問」に向けて、担任に対する仕込みの準備を始めた。
その間、イジメっ子の方は大人しくしていたのかと言うと、さにあらず。平均して身長差約30センチ、体重差200%と言う圧倒的体格差を駆使して俺を何処までいたぶる事が出来るかを仲間同士で競い合う様に、毎日毎日しつこくも付き纏って来てくれていた。
そのグループは主に3つに分かれている。
一つが、所謂ジャイアニズムの申し子である「鈴木」を中心として、クラスの半数程を従えた「ワルチーム」
ここは、俺の他にもタゲられてる奴も内側に在席している為、実はそれ程脅威では無い。気まぐれに「虫の居所」が悪い時に絡まれて殴って来ることもあるが、こっちから面白い事を提供してやれば、一時位は共存も可能ではある。むしろ、子分として扱われている「永田」の家から百万ガメて来た! と武勇伝を語りつつ子分達に分前を配ったり(当然ながら俺は頭数に入っていない)白昼堂々と知らない家に空き巣に入ったりとやりたい放題の非行を繰り返す正真正銘の不良である。
いま一つが、そこそこ良家のおぼっちゃまである「中瀬」のグループ。カーストとしてはトップで女子受けが良い見た目ながら少数精鋭と言うか、こっちは近場で同程度の家柄の四人程でつるんでいる。親に対する反抗? と言うか、親に隠れて悪さをするスリルを味わいながら段々タガが外れて来た感じである。不良が拾ったネコを可愛がる様なイメージなのか、他人の見てない所では普通に話せる所もあったのだが、クラスで余りにしつこく攻撃してくるので一度反撃したら、それ以後容赦無く攻撃を加えて来るようになった。特に同グループの「安井」には前世で目玉をえぐり取られかけた事もあり、以後俺の右目はほぼ視えなくなった。なまじ、暴力など振るい慣れていない輩が一番危ないと言う事だろう。
だが、この二つはまだマシな方である。最悪なのは男子最後の一派「嶋田」率いる「優等生」(っぽい)軍団である。
正確には当時そんな言い回しの無かった「意識高い系」の面々で、中学受験を視野に入れた親子共々「お高く止まって」らっしゃる5人程の
グループである。
我がクラスの成績上位をこのグループと俺、それにもう一人が占めている状態で、それもあって俺を邪魔者と思っているのだと思っていた。
因みにもう一人の成績優秀者についてだが、とてもではないが奴ら程度では相手にならない程「格上」の家系の者で、そう言う浮世の争いとは無縁の存在である。何しろ曽祖父が帝国軍大将閣下と言う軍閥の名家で、父親が将来の警視総監候補と言うスケールが違う立場。うっかり突っかかって「警察沙汰」にでもなれば確実に負ける相手である。ある意味アンタッチャブルな存在なのだ。
だからこそ、安全パイである俺がタゲられたとも言えるのだが、他のグループが力に訴えて来るのに対して、コイツラは精神的に追い詰めて泣き言を言わせ、更にそこから一段も二段も突き落とす、そしてトドメに「暴力」と言う方法で攻撃してくる。
例えばだが、俺にも親友と言える様な相手が何人か居たのである。
コイツラは、そういった人間をターゲットにして、俺の悪口をある事無い事吹き込んで分断を図る。俺と仲良くやれる様な者だからそれなりに純朴で結構この手で簡単に釣れるのである。そうして仲違いさせて喧嘩状態にすると、今度は親友の方に「仲間」を装い味方してやる、と言う大義名分を振りかざし「正当」な制裁と言う体で俺に暴力を振るってくる。万一大人に見られても最初に手を出したのは俺の方だと主張して、自分たちは悪くないと言い訳を用意しているのである。
コイツラはそれが一巡すると、今度は俺に対して、俺から去って行った元親友達の悪口を吹き込む様になった。尤も、散々俺自身がヤラれた手口に引っかかる程お人好しでは無い。精々無視してやったら六年生になると今度はターゲットを変更して来た。
相手は俺の母親である。
家に帰ると奴らが先に俺の家に上がり込んでいて、母親に対しその日俺がやったと称する「悪事」をある事無い事吹き込んでいるのである。
先に書いた様に、俺の母親と言うのは、口より先に手の出る衝動的な人物である。つまり奴らがここまで出向いてまで見物したいのは、
実の母親による「息子」に対する残虐な制裁「ショー」である。
ウチの母親が、また良く「釣れる」ダボハゼみたいな御仁であるから、この「残虐ショー」需要は小学校卒業まで何回も続いた。
その一方で大人の見てない所では、それはもう遠慮会釈無く俺に対する暴力は続いていた。しかも、
「てめえんトコのババアに泣きついても無駄だからな! 今やアイツもお前なんかの言う事は信用なんかしねえよ! 尤も、あんなババア何時でもぶち殺せるんだからな? たとえお前の味方したところで怖かねぇよ!!」
と、まあ、こんな感じである。徹底して分断を図り一人きりになった所を追い詰め、自分達は安全に、手の届かない所から他人をいたぶる。戦略的には理に叶った行動であるのは認めるが、人間としては到底許してはおけない程の卑怯者集団である。
だが、奴らが俺をタゲったのも、俺なら安全に痛めつけられると言う確信があっての事である。
実際、例の大将閣下の曾孫に対してはそう言う人格自体おくびにも出さずに只のクラスメイトを装っているのだから。
だから、俺と言う安パイな相手が実は「割に合わない」相手だと言う認識を持たせれば、大半の奴らが結構簡単にケツを捲るのではないかと言う予想も立つのである。
そうそう、「割に合わない」と言えば、タイムリープして以来、俺に暴行を加えている奴らが、その最中に自ら「怪我」をすると言う事例が、続出して来た。
変な足の捻り方をして歩行困難になったり、机の角に頭をぶつけ出血したり、と言った傍から見ていれば「自滅」そのもので、恥ずかしいのか、本人もその件に関しては多くを語らない。
お陰で幾人かは、俺に絡んで来る奴らが減ったのは僥倖である。
な〜んちゃって。
奴らが怪我をしたのは、俺がそう言う風に誘導した結果である。
当たり前と言えば当たり前なのだが、俺には前世の記憶が40年分あるのだ。確かに小学生の時分は闘い方など知らない無辜な存在であったのだが、こんな境遇を過ごして来て、尚、ヤラれるばかりの人生を送り続ける生粋の「被害者」ばかりやってられるか! と言う話である。
当然、反撃の方法と言うのは常に考えて生きてきた。中学に上がると、地元警察署の柔道教室に通い出し、そこで武道のメカニズムに触れた。中学3年間で下手な有段者よりも技の面では優れる様になり、警察官相手の乱取りでも体格差が20kg以内ならそこそこ互角にやれる様になった。
尤も、選手を目指していた訳でも無く、コレに青春をかける気も無かった俺は、中学卒業と同時に警察の柔道教室も卒業すると、高校時代は都立の底辺高校でまったりスローライフを満喫しながら趣味で格闘技を色々つまみ食いしていった。元々のプロレスファンだった事もあり、全盛期の三銃士+四天王は言うに及ばず、女子の対抗戦は直に観戦しつつ、日、一日と進化する様に驚愕しきりでエキサイトしていた。
一方、アルティメット黎明期のグレイシーと言う驚異に対抗する算段を、結構本気で考えつつ、その一方で奴らの「足りない」部分を見つける為にも様々な格闘技にそのヒントを探りつつ青春時代を送ったものだ。これには高校時代の悪友の存在も大きかったのだが、現状、ソイツの話は当面気にしないで欲しい。
一つ確実に言えるのは、今、ここに居る俺は、只無力なだけの「被害者」に甘んじる程甘くは無い、と言う事である。
とは言え、折角の強大なアドバンテージを、無為に御開帳する趣味も無ければ、弱者をいたぶる気も無い。只、下手に介入して来る奴らには、それ相応の報いを受けて貰うのも吝かでは無い、と言う事だ。
まあ、そんな訳で、新学期から一月もすると、前世の時とは違い、四方八方百人近い「敵」が毎日毎日日替わりで襲い掛かって来ると言う事態からは大分解放され、休み時間にもある程度は自由に動ける時間帯が増えた。
その一方で、むしろ性懲りも無く、怪我をしてもそれを推して俺に仕掛けてくる奴も出てきた。と、言うか、一人だけしつこく更に憎悪を剥き出しにして襲って来るバカ者が一匹居た。
前述の「嶋田」である。
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