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思念2 殺意

更新遅れました。

最近受験準備とかで書く暇が無い。

改造銃がそこそこ出てきます。

ケンの家から30分歩いた所にある山は、国が保有している大型訓練所である。

駐車場も給水所もあり、近くには電車も通っているので便利な場所である。

大きな沼や川が横切る自然豊かな森林ブロック、山中にある立ち退いた村を利用した市街地ブロック、野原に長い数本の穴の道を掘った草原ブロック、大きく開けた場所にある射撃訓練ブロック、湖とその周りに広がる砂丘の水辺ブロック。

大きく5ブロックに分かれた広大な山で、それぞれ大きく地形も異なる。

それと同時に訓練方法も様々行えるので、自衛隊の訓練にも使用されていたりする。

それぞれのブロックに行く道は整備されてはいるが山を使うには予約が必要で、稀にここであった他の団体と合同だったりもあるが良い場所である。


今日予約しているのは射撃訓練ブロックで、ケンと夜宵の他、研究部の研究員と研修員の20人の予定である。

雲ひとつ無い空だが、銃声が遠くから聞こえたりヘリの音がしたりと相変わらず落ち着かない場所である。

射撃場以外の訓練には弾頭がゴムでできている弾丸、ゴムマリの中に火薬を詰めた手榴弾、バズーカなどは推進薬とプラスチックの外殻で、中にペイント液と少量の破裂用火薬を使用したものなど、殺傷能力の無いものの使用を制限されている。

無論この山の中では、防弾チョッキと防弾仕様のマスクかゴーグルの着用制限がかかっている事は言うまでも無い。

まあ夜宵の横にいるケンの超能力で体の周りに防壁作用の思念を流すことができるので、いつでも夜宵は無防備である。

ちなみに最近では防壁や微弱な浮遊、感覚作用の強化思念などは、一日の使用回数のカウントには入らない事が分かったので、睡眠時以外常に体には防壁と感覚強化思念をながしている。

反射神経、運動神経、腕力、脚力、肺活量、持久力、耐久力、第六感全ての能力が、常人では考えられない数値まであがる。

例えば今持っているミニガンの通常モデルの反動にも耐えられるし、殴り合いでは負ける事はない。

しかし夜宵の動きには、目で追えるものの今でも勝てない。

後ろから殺す気で殴りかかった不意打ちを試みたものの、一瞬で気付かれ半殺しにされた。

まったく、化け物か・・・・・・!


「・・・・・・・――ケン!!」

夜宵が手を横にして、止まれと合図してきた。

ケンは前を見ると、遠くの方に見えた射撃場で白衣を着た夜宵の部の研修員達と、それに向かい合っている迷彩服の男達が見えた。

男達の先頭には、将校服を着た偉そうな奴が研修員達に怒鳴りつけていた。

「何かあったのかしらねぇ?」

手を下ろした夜宵はそう呟き歩き出し、ケンもそれについていった。

「あれは・・・・・・自衛隊陸上部隊じゃねえか!」

その先頭の男の帽子についていたのは、間違いなく自衛隊陸上部隊の中佐バッチである。

基本自衛隊は自国を危険から守り災害から人々を救うためのものなのだが、陸上部隊は特殊扱いで、紛争地域での戦闘や侵入者への攻撃などのための技術を持つ部隊である。

特に射撃、CQBや合気道、空手やカポエラなど対人戦に長けている。

ケンは夜宵に危険が及ぶといけないと思い、真横から少しだけ前を歩いた。

だいぶ歩いて近づいたところで、一人の研修員がこちらに気付きこちらに手を振った。

それに気が付き、他の研修員達もこちらに注意を向けた。

釣られた相手さんもこちらに視線をやった。

「部長ー!!」

そう言って駆け寄ってきたのは、幹部の福隅だった。

この男は問題児で、大抵こいつに関わるトラブルの根本的原因はコイツだったりする。

本人に悪気があるわけでは無いのだが、自覚が無いのはたちが悪いものである。

夜宵もまたコイツかと、顔をしかめているのが横目でわかった。

再び福隅に目線をやると、もう目の前まで来ていた。

問題児だが幹部になれたのは、多分この足の速さと優秀な頭脳であろう。

「・・・・・・・何があったの?」

駆け寄ってきた福隅に、夜宵は殺意を伺わせるような低い声で問い掛けた。

横にいたケンも思わず姿勢を伸ばして、進んでた足が体と共に止まってしまった。

そんなことは知るよしも無く、福隅は半笑いで目の前で止まった。

幼さの残る顔立ちに長く整えられた髪、2年とは思えない145〜150cmぐらいの身長。

非戦闘員といえる様な気がするが、しつこいがこれでも幹部である。

「はい部長!!あのですね、あの人たちがここは俺達が使うんだって言い張ってるんですよ」

目の前で敬礼しかしこまり、軍人の真似をしている子供の様にしゃべり始めた。

「僕達も予約していたから一緒に使おうと言っているんですが、集中できないと言っているんです」

「フーン・・・・・・・」

夜宵は袖を通していない将校服の上着の下から手を回し、頬を掻いていた。

多分今回はコイツは悪くなく、夜宵は目を陸上部隊の連中の方にやった。

「とりあえず相手さんの話を聞くことをしましょうか」

そう言いベルトに手を回し、福隅を押しのけ歩き出した。

先頭の男の前まで来たところで足を止め、ケンは担いでいたミニガンを足元にゆっくり降ろした。

ケンは一応念のため、夜宵と自分の防壁思念の濃度を防弾質のある濃度まであげた。

話しかけていきなりズドンは確実に無いが、殴りかかってくる可能性もあるので念のためである。

「どうも初めまして。

私は大日本憲法国立第4中等学校の重火器研究部部長兼生徒会生徒指導官を勤めている孤桜夜宵准将だ。ここを予約していた、そいつらの責任者だ」

彼女の尊敬する者以外には敬語は絶対つかったりはしない。

学校の先生にも使わないほどで、結構年上の人でも稀にしか使ったことは無い。

相手の怒りを余計に煽り相手は怒鳴りつけようと口を大きく開いた。


夜宵には生まれた時から、自分で殺意をコントロールする術を持っていた。

睨みつけなくとも、大きな声をださずとも、恐ろしい顔もしなくとも出せるものである。

人間は相手の近接戦闘においての弱点の1つは、恐怖である。

恐怖は判断力を鈍くし、体の動きを止め、精神を破壊する。

相手に恐怖を植え付ける量が多いほど、近接戦闘にかぎらず全てにおいて上位に立つ事ができる。

例えば目の前で人が刺されそうになっていても恐怖は感じにくいが、その殺意が自分に向いた時は恐怖が湧く。

一人の人間は直接では一人相手にしか殺意を向け恐怖心を起こさせることしかできない。

以前ケンとお互いの能力を知ろうという名目で、マクドナルドで飲み食いしながら話し合ったことがある。

濃度調整によっては相手を恐怖で発狂させたり、最高濃度の部分を作ればそこに押し込めショック死させたり、本人は隠れ広範囲に張り巡らせその範囲内の相手の注意を引いたりなどある。

後者の例だと朝から学校ごと弱い殺意で囲み、夕方には生徒全員を疑心暗鬼にさせることも可能である。

今この瞬間、夜宵はその能力を発動させた。

ドス暗い雲の様な見えないものが、ケンもろとも相手の部隊を飲み込んだ。

彼女の出せる限界濃度をパーセントで例えるなら、今は大体20%である。

現在夜宵の出せる殺意の種類は今は局地に発生させるもの、本人を軸にし上下左右前後とドーム状に広げるもの、手の平に超高圧に発生させ触れればショック死、頭に障れば廃人に変えるものの3つである。

だいぶ前に夜宵を怒らせて発狂するほどの殺意を喰らったことはあったが、そのときに喰らったのに比べれば屁でもない。

しかしいくら薄い殺意濃度でも、初めてこれを喰らう奴は堪ったもんじゃないだろう。

予想通り、相手さん達はさっきまでの威勢はどこへやら。

相手は大きく開けた口をゆっくり閉じ、額に汗を走らせた。

「ほ、ほぉーう。

わ、私は自衛隊陸しょう、陸上部隊隊長の長谷川ちょ、少尉である」

相手はろれつが回らなくなって、足元をみると微かにひざが震えていた。

後ろの奴らはコイツ以上で、完全に足が振るえ目が下を向いている。

「我々はここをよ、予約したのだが、お前達の、その・・・・・。

なんだ、組み立てるのはいいんだが、その・・・・・・・」

「ハッキリしていただきたいものだな、のう五十嵐中尉!!」

高々と相手を挑発するかのように笑い飛ばし、ケンの肩を何度も叩いた。

流石のあの陸上部隊の少尉でも、目線を下げぐうの音もでなかった。

これではらちがあかないと思い、ケンは仕方なく口を開いた。

「准将殿、これでは話になりませんよ。抑えた方がいいと思います」

夜宵はそういうと夜宵は叩いていた手を、頬に回して掻きはじめた。

しばらく間を開け、夜宵は顔を上げた。

「ん、まあいいでしょう。

どうせ私達はまず1時間の準備がいるし、巻き添えになられても困る。

あなた方陸軍は3時間が限度だろう」

この山を使う時一般人は1時間、自衛隊系統の部隊は3時間、近くの学校の者なら4時間と時間枠が決められている。

それに後者で10人以上なら、半日ぐらい借りられる。

ちなみに巻き添えとは何ぞやというと、爆発物系が多いので破片が飛んできてケガをするという意味である。

夜宵は殺意を引っ込めたようで、目の前の兵士達の顔色がよくなっていく。

意外とひどい仕打ちをする事もあるが学校内では人気はあるのは、夜宵はやる時はやる奴で美人だからであろうか。

実際出た課題はすぐ済ませるし、実技模試両方のテストも上位に入り、炊事洗濯家事などもできる。

最近では思いを寄せる男もいるようで、ケンがいつも横にいるのに嫉妬している者も少なくはない。

「では五十嵐中尉、準備に取り掛かるぞ」

夜宵は久々にスッキリしたようで、再び高々と笑いながら研修員達の方に向かって歩きだした。

「御意」

そう呟き足元のミニガンを拾い上げ、持ち上げ夜宵の後ろを行った。


我が国日本はこの2年間の戦争には、大して関与していない。

無期限の戦争放棄もあり、他国と友好的に接してきたためであろうか。

爆撃も侵攻されたりも全くないし、貿易の些細なトラブルを除けば、日本に被害は大してなかった。

最近では技術力と安全性も好評で、衣類や銃、装甲車やヘリなどの輸出も行っている。

もちろん資源の輸入も行っているが、輸出するものが高価なので去年日本の負っていた借金も4割も返済に成功した。

銃刀法違反の法律も軽くなり、銃の輸入もできるようになった。

しかし日本全土に配布されているものは、自衛隊の正式銃ではなくロシアから輸入したAK−47を配布している。

旧式モデルで低価格な上、簡易な内部構造でクリーニングしやすいと名高いからであろう。

これを改造するのが最近学校では流行っていて、サブレッサーやグレネード、スコープやロングバレル、中にはマガジン改造などもやっていたりする。

今ケンが手にしているのも、福隅の改造型のロングバレルにスコープに二脚、サブレッサーにドラグノフ狙撃銃用7.62mm×54R弾の発射が可能な狙撃仕様である。

単に狙撃するならロシア製のドラグノフ狙撃銃にすれば良いと投げかけた所、こっちの方が勝手が効くし買う金も無いと返された。

まあ確かにAK−47は水でもクリーンできるし、射程距離もカバーできている。

しかし内部構造が夜宵を除く全ての人間が理解できず、クリーニングできるのは夜宵と福隅だけだろう。

単発、連射の切り替えられるこの改造銃は、彼のお気に入りの一つである。

対して少し離れたところで夜宵が研究員達を指揮して組み立てているものは、シモノフPTRS1941という対戦車ライフルである。

全長2メートル、重量20kgと彼女愛用の大型ライフルである。

ミニガンは実用性が少ないため、こちらの銃の方が使う機会が多い様である。

14.5x114mm弾を使用しており現代の戦車は貫通はしないが、キャタピラを破壊したり機関銃を撃つ銃士を狙撃したりと活用されている。

有効射程距離は400mで装弾数は5発なのだが、彼女の手により装弾数は20発で、独自の改造で射程距離は800mと脅威の銃である。

弾薬係と射撃係の2人組みで行動する銃なので、側近のいる夜宵にとっては効率の良いものである。

他の研究員達はその周りでロシア製のRPG−7や、夜宵の改造前の故米国製のM134、簡易対空砲などの組み立てに入っていた。


「それにしてもアイツら、まだ初めて30分位なのに帰る準備してやがる」

ケンはお手製のサバイバルナイフを油の染み込ませた布で拭きながら、陸上部隊の訓練を見ていた。

確かに大量のオプションを付けたM16を使っているが、その本来の命中精度を出せていない。

先ほどの影響がまだ抜けていないか入隊したての新兵のかどちらかだが、全員顔色が悪い事から伺えるのは身に入らない事から帰るのだと思う。

どちらにせよこっちの訓練時間が多くなって、想定してたより早く始められるのでありがたいのだが。

ケンはナイフの刃の部分を太陽にかざし、油を全体に塗れているか確かめた。

油は超能力の思念を残留させる効力があり、硬化や振動などの思念を流すと塗ってないときと比べ長く残る。

振動思念をナイフに流しておけば、超音波ほどではないが振動する。

振動する刀は自衛隊が試作品段階まで開発しているが、それを軽く凌駕する実用性がある。

試作品の刀は柄から鍔の部分までの間に電気で作動する振動発生装置を埋め込み刀身を振動させ切れ味を6倍以上に上げるものである。

この機能を使えば多少知識のある者ならば、2cmまでの鉄板も3分以内に二つに分断させられる。

しかしこれには欠点が多い。

戦場で電気の確保は難しい上、振動発生装置は5kgもある。

刀の重さが6kgとしてプラス5kgなので、簡単に考えれば11kgの鉄の棒を振り回せということである。

大男でもない限り不可能であるし、戦場での維持、継続が難しい。

実用性が無いのだが、開発部の上層部は最前線の兵士の事を一つも理解できていない。

そんなのより10000円ぐらいで買えるバトルナイフの方が実用性がある。

ちなみ今持っているこのナイフはミリタリーショップで4000円で購入した、中古を磨いで直したモノである。

ヒビが入り今にも折れそうで、鞘にいれるときすら気を使う。

愛着があるわけではないのだが、折れれば買い直さなくてはいけないので大切に使っている。

ケンはナイフの油を確認し、鞘に収めた。

ふと足元を見るとミニガンが無造作に置いていたので、取っ手の部分を掴んで持ち上げた。

普通に重く、身体能力の思念があってしてもかなりの重量である。

持ち上げて夜宵の方を見ると、こっちにおいでと合図をしている。

他の研究員たちも作業を終えたようで、夜宵の元に集まっていた。

ケンはミニガンを肩に担ぎあげ、夜宵のもとへ向かった。

ご愛読ありがとうございました!

新タフガイ先生の次回作にご期待ください!!


嘘ですよ!次回もご期待ください。

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