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夏休みの宿題  作者: ミルノ。
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観察日記 4日目

観察日記


四日目


今日も自由研究の為、鴨池庭球場へ


いつも人気の無いおじさんの寝床へ足運ぶ。


おじさんが横になっている所におじさんの姿がなかった。

マイホーム?に居るのかと思い、林の方に目線を向けると人だかりが出来ている事に気が付いた。


「や、止めてくれ~。 私の家を壊さないでくれ~。」


アロハシャツを着た集団に取り囲まれたおじさんが泣きながら無駄な抵抗していた。


「人聞きの悪い事を言わないで下さい。 近隣の人達から苦情が来てるんですよ。 それに、いい加減、バイトでもして働いたらどうなんですか?」


「私は、誰にも迷惑かけた事はない。」


どうやら、市役所の職員が強制撤去を行っている最中らしい。


「……。」


あ、おじさんと目が合った。


助けを求めている様にも見えた。

だが、おじさんは、何かを悟ったかのように目をそらし、視線を地面へと移した。


職員の撤去作業は、直ぐに終わった。

手際が良いのか、おじさんの家?が余りにも幼稚な作りだったからなのかわからない。


ただ、取り残されたおじさんを見ていて居たたまれない気持ちになった。


僕は、おじさんに何て声をかけたら良いかわからないから、お金をそっと渡して帰ることにした。


「社長だった私が今更バイト何てするわけないだろ。 たかだか時給700円で働けるか。 私は、そんなに安い人間じゃないんだ。 社員どもがちゃんと働いていれば、中国人なんか信じなければ…………。」


背中越しにおじさんの声が聞こえるが、風の音共に流され僕の耳におじさんの言葉が届く事は、なかった。


帰り道、突然雨が降り僕の頬に当たり雨が流れた。


人は、落ちるとこまで堕ちても何も気付かないし、何も変わらないのだと知ってしまった。

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