表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

【第一話】真鶴茉夏について。

 真鶴茉夏まなつるまなつは、いわゆるクラスのマドンナだった。

 と言っても、才色兼備、秀外恵中というわけではなく、僕たちのような一般男子高校生から見て、クラスで一番可愛い女子生徒というだけである──けれど、やはりその容姿は整っていて、初めて見た時は、僕も目を奪われた。

 顔のパーツ一つひとつが外国人のようにハッキリとしているわけではないけれど、確かに綺麗で、その控えめな顔立ちが清楚な印象を与える。

 けれど笑った顔はまさに『女子』という感じで、すごく可愛かった。

 常識的に考えて、授業で指名されなければ言葉を発することのない僕のような人間とは無縁の存在だった。

 高校二年生になってから毎日のように見ている彼女の後ろ姿も、芸能人やアイドルを見ているような、憧憬や断念という視線で見つめることしかなかった。

 そんな真鶴茉夏の名前が、今、僕のスマートフォンに映し出されていて、スマートフォンは軽快な音を鳴らしながら振動を続けていて、それはつまり彼女からの着信を示していて。

 あまりに唐突で、現実味のない出来事だった。

 事実を認識するまでに2コール、事実を受け止めるまでに1コール使った──4コール目で、僕は緑色の受話器のマークをタップする。

「も、もしもし」

「あの、芽ヶ崎(めがさき)くん?私、同じクラスの真鶴です。クラスのLINEグループから勝手に登録しちゃった。急にごめんね。あのね、今日、クラスで委員会を決めたんだけど、芽ヶ崎くん今日来なかったから、伝えておこうと思って。私と芽ヶ崎くん、学級委員になったから。だから、その、よろしくね?」

「え?」

 ──残念。

 僕の名前は、茅ヶ崎(ちがさき)だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ