旅路を送る
いつか私も旅に出る。
重たい荷物は丁寧に畳んで。
思い出ひとつを身に付けて。
いつか私は旅に出る。
それは今日のこととも明日とも知れず。
だからこそ。
今日、いま、このときに、
この心は悲歎に暮れてはいないのです。
年月など光の如き速さでしょう。
ひとひとりの生涯など、雲間を走る稲妻のようなものでしょう。
旅立つあなたは言うのです。
この先でまた御目にかかりましょう。
少し歩んだその先で、あなたの訪れを待ちましょう。
ですからわたしは見送ることが出来るのです。
心静かに。
また御目にかかりましょう。
そのときまで、しばしの別れ。