死すべき運命に逆らう方法
貧血で死す、という事が今まで私にはよくわからなかったが、今でははっきりとわかる。もしかしたらこれが一番辛い死に方なのではないか。全身の血液が斬られた筋に集まって、流れ出ていくのが驚くほどはっきりと分かる。
戦なのだから、斬って斬られて、殺し合いの世界。それは自らの義を貫き通す為。それで死ぬるのならば本望なのか。それでも生存本能というものは生きたいと願っている気がする。現に私だってできる事ならまた刃を手にして戦いたいと願っている。
でも、きっとそれは叶わないのだ。本能的にそれは叶わない、と自分自身に伝えている。ここで私は終わるのだ、一生を終えて土となり、永遠となるのだと。
どれだけ拒んでも死からは逃れられない。ならば、私は……
先程まで相手を斬りつけていた、血濡れの刃を握る。そういえばこれとは長い付き合いだった。始めて稽古した時からこの刀以外は使う気がしなかったな、としみじみ思い出す。
これに触るのも、最後だ。
「……さらば、」
この世で出会った全ての物達よ
死すべき運命に逆らう方法