A-002
とても暑い夏の日。
私は両手にアイスを持ってせん風きの前をじん取り、三とうりゅうで涼んでいた。
夏休みだから、毎年こうれいおばあちゃんの家にお泊まりをしに来ているのです。
おばあちゃんの家はとてもいなかにあってゲームもできないし友達もいない。
本当は、来たくなかったけど
ママが年に1回おばあちゃんに「おやこうこう」できるってよろこぶから付いてきてあげている。
それでさっき、おばあちゃんに「買い出し」に行かされた私はこうして涼んでいるのである。
よく、おばあちゃんはわしつは風通しがいいんだよ、なんていうけど
もっと最近の“ちきゅうかんきょう”にくわしくなってクーラーといものを付けるべきだと思う。
両手のアイスを食べあきた私はせん風きに向かって叫び出す。
十回目の「あー」をやろうとしたときにおばあちゃんの家の古びたドアがガラガラと開いた。
「おっばーちゃーん!久しぶりー!!」
私はその声にびくりとする。
おばあちゃんと呼ぶのはこの家で私と弟のこうやしかいない。
だれ?
と、言ってみたいんだけど聞くべきおばあちゃんとママは今外に出ている。
こうやはまだまだお子さまだから、ママにおんぶされていっしょに連れて行かれたし。
カギをちゃんと閉めておけばよかった、なんて思ったときとうとうフスマがガラリとあいた。
「…あれ?お前…誰?」
年長組だからって大人になったわけじゃないけど、
私はママ達がよくいう「キラキラするオーラ」が出ている男が分かった気がした。
かみの毛はぼさぼさで、半そで短パンのいかにもって感じの格好をしていたけど
私の目の前にいる男の子は紛れもなく
ひかっていた。