【幕間:その3--雷鳴城の小さな同居人】
*生成AI使用
ガラナ公爵家の広大な敷地、その一角にアレスだけが立ち入ることを許された離れがある。
そこは、城の重厚な空気とは対照的に、ほんのりと温かさに満ちた空間だ。
「……ふっ、今日も元気だな」
アレスが扉を開けると、そこには丸まった毛玉――ガラナ家で飼育されている雷獣『ライライ』が待ち構えていた。
雷獣といっても、その姿はふわふわの白い毛並みを持つ小さなキツネのような生物だ。ただし、機嫌が良いと尻尾からパチパチと小さな電気を放ち、機嫌が悪いと部屋中の家電をショートさせるという、一族の雷に慣れた者でなければ世話など不可能な魔獣である。
「キュゥッ!」
アレスの姿を認めるやいなや、ライライは弾丸のように飛び出し、アレスの足元に擦り寄ってきた。
普段、家族に対しても冷徹な仮面を崩さないアレスだが、今はその表情が柔らかく綻んでいる。
アレスが手近な椅子に腰を下ろすと、ライライは慣れた様子でアレスの膝の上に飛び乗り、小さく鳴き声を上げた。アレスがその柔らかな頭を撫でると、ライライは心地よさそうに目を細め、静かな電流をアレスの手のひらに流す。
それは、殺伐とした魔族との戦いとは無縁の、穏やかなエネルギーのやり取りだった。
「今日、学園で少し疲れることがあってね。……やっぱり、ここが一番落ち着く」
誰に聞かせるでもなく、アレスは呟く。
第1クラスの怪物として、ガラナ家の跡取りとして、常に張り詰めた神経を維持し続けなければならない彼にとって、この小さな生き物だけが、唯一「アレスという名の少年」でいられる場所だった。
ライライは小さくあくびをすると、そのままアレスの膝の上で丸くなった。
外では雷鳴が轟き、荒野には死の気配が漂っている。だが、この離れの中だけは、穏やかな時間が流れていた。
明日になれば、また最強の雷帝として戦場に立つ。
けれど今は、せめてこの温もりだけは手放さずにいたい――。
アレスはそっと、ライライの柔らかな背中を撫で続けた。雷の怪物が見せる、束の間の優しい夜のひとときだった。




