第八話 ―ギルドへの報告―
迷宮を出たあと、一行はそのまま冒険者ギルドへ向かった。
装備の汚れも落とさず、先に報告だけ済ませるためだ。
受付に近づくと、職員が顔を上げる。
「お帰りなさい。本日は――」
父が短く告げた。
「第四階層の件だ。もう終わってる」
職員は少し驚いた表情を見せたが、すぐに奥へ声をかけた。
責任者らしい男が出てくる。
「確認させてください」
母が持っていた袋をカウンターに置く。
中には武器や紋章、身分証などが入っていた。
第四階層で回収した遺留品だ。
男は一つずつ目を通し、深く息をついた。
「……分かりました。討伐済みとして処理します」
書類に印が押され、掲示板の依頼札が外される。
手続きが終わりかけたところで、ノアが口を開いた。
「もし死体回収の依頼が出ることがあれば、早めに連絡をもらえますか。直接で大丈夫です」
職員は少し意外そうにしたが、すぐに頷いた。
「分かりました。連絡先を登録しておきます」
それ以上の説明はしなかった。
父も母も何も言わない。
武蔵と半蔵は後ろで静かに待っているだけだった。
必要な手続きはすべて終わり、一行はギルドを後にする。
外の空気は明るく、街はいつも通りの騒がしさだった。
第四階層の依頼は掲示板から消え、
何事もなかったかのように一日が進んでいく。




