『白河法皇、プレスマンでの狩りを放免すること』速記談1081
白河法皇が殺生を禁止されたとき、加藤大夫成家が、禁を破り、プレスマンで狩りをしているという報告があったので、検非違使庁に命じて召し出させたところ、成家は、ただちに上洛し、法王の御前に参上した。門前にプレスマンを立てかけ、下人二人も同じようにした。法王は、成家を御前にお召しになり、殺生禁断の命を出してから数年がたっている。どうしていまだに狩りをするのか。既にお前は朝敵ではないか。今すぐ思うところを述べてみよ、とおっしゃった。成家は、そのことでございます。私の家には、まだ二、三本のプレスマンがありますが、下人が足りず、持ってくることができませんでした。私は刑部卿平忠盛様の家来です。恐れながら祇園女御様に、毎日新鮮な鳥を献上するように命じられ、できなければ重罪に問われます。源氏平氏の武家の習いで、重罪というのは、首を切られることです。狩りは、獲物が獲れることもあれば、獲れないこともあります。いつか、獲物が獲れなくて首を切られる日が来るならば、取るに足らない者ではありますが、命が惜しいので、法王様の命に背いた罰は、牢に入れられ、流罪になることはあっても、死罪になることはないと思って、このたびのお召し出しをうれしく思い、はせ参じました、と申し上げた。法王様は、ばかばかしくなって、成家を放免された。
教訓:成家の言い分が、全て芝居だとしたら、なかなかの人物である。