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19話 試験

 試験部屋の中に入るとそこには大きな魔法陣が描かれていた。膨大な数の文字が書かれている。

 この魔方陣にはかなりの魔法が組み込まれているのだろう。そんな事を思いながら魔法陣の中へ足を踏み入れたその瞬間、俺を取り巻く周囲の風景がガラッと変化する。

 どこかの森の中のようなだだっ広い空間。そこに俺は立っていた。

 地面を触るとちゃんと土みたいになっている。でも多分ここは本当にある場所じゃなくてこの試験のために用意された空間なんだろうな。

 肥沃そうな土地なのに虫が一匹も見当たらない。


 空間転移魔法を魔法陣なしで自由に使える人は多分、俺以外存在しない。だが、空間転移自体は定められた空間同士を魔法陣を描くことで紐づけさえすれば誰でも使用できる。

 今回の試験ではあちらの試験部屋の空間とこちらの森林の空間とを紐付けしているのだろう。


 魔法陣の仕組みについて俺が思考を巡らせていると早速俺の目の前に試験魔物が現れる。

 小さな狼型の魔物だ。確かあいつは見た目に反して弱い『レッサーウルフ』とかいう下級魔物だったな。

 群れになると厄介だが一体相手ならば何の苦労もなく倒せる。


 出てきた瞬間に火魔法で消滅させると次に現れたのはまたもやレッサーウルフである。何度か同じ種類の魔物を倒していくと、とある時点で召喚される違う種類の魔物へと変化する。


「こいつは……なんだっけ?」


 ゲームをプレイしていた頃の記憶が薄れてきたため、最近では重要な事柄だけ記録魔法なりなんなりで記録して覚えているのだが、こういう下級魔物に関しては正直忘れてしまった奴は多い。

 ただ強さ的には火魔法で十分消滅させられたため、適当に魔法を放って倒していく。


 今何点くらいだろう? かれこれ下級魔物を五十体くらい葬ってきた気がするけど……。

 常時魔力回復もある俺だからこの程度は余裕だが普通の受験生で言えばこれだけでも結構魔力も削られるはずだ。

 せめて百点くらい入っててほしいけどな、なんて思っていると次に現れたのは最初に倒したあの『レッサーウルフ』の群れであった。


「おっ、十体くらい一気に出てきたな」


 ここまで魔力を削りに削って一気に群れで畳みかけてくる。なるほど、常人ならここで心が折れるな。

 だが俺は全然余裕なため、少し大きな火魔法を放って群れを一掃する。


「それにしても休憩時間とかないんだな」


 この試験は瞬発力だけでなく持久力も測っているのだろう。ただの学校の入学試験とは思えないくらいハードな試験内容だ。

 これも王国一の学園だからかもしれない。


「次は結構強そうな魔物だな」


 名前は忘れたけど多分中級程度の虎型の魔物だ。俺は模造剣に魔力を纏わせると、構える。

 せっかくだしこいつの強度でも見てみるか。

 

 鋭い牙をはやした虎型の魔物が襲い掛かってくる。

 それを牙が当たるすれすれのところで躱すと、模造剣を勢いよく魔物に向けて振るう。

 魔物がそれに怯んだところで再度模造剣を振るう。


 そして数度か細い呻き声をあげると虎型の魔物はその姿を消失させていく。


「あっぶね、あとちょっとで折れるところだった」


 試験のために渡された模造剣はやはりただの訓練用の剣レベルに脆い。

 こいつで魔物の首を一刀両断しようとしたが、逆にこいつが耐え切れなくなったから途中で力を緩めたのだ。


「ホントに何でわざわざ剣を交換させるのかね?」


 通常の剣並みに鋭い斬撃くらいなら魔法で生み出せるしあまり意味ないと思うんだけどな。

 疑問はまだまだ多いが、取り敢えずサボることなく試験をこなしていく。

 魔力回復量よりも多い魔力を使う事は無いため、俺がへたるとすれば体力面だけ。

 だが、魔力で強化された俺の体は疲れを知らないまま。果たして終わりが来ることがあるのだろうか?


「流石に上級の魔物は出てこないか」


 ある程度魔物を倒し終えたところで俺はふうと一息を吐く。中級の魔物のバリエーションが一通り終わったところからは中級の魔物の群れの数が増えていくというところで難易度を上昇させている。

 エアリスってどこまで行ったんだろうな。ここくらいまでは来てるのだろうか?


 ふと忘れかけていた試験の点数を考えながら次の試験魔物を待つ。

 少し遅いな、そう思った次の瞬間、目の前が真っ白な光で覆われる。


 これまでにそんな光を放ちながら現れた魔物はいなかった。新種か、そう思っている俺の目に映し出された存在は予想外のものであった。


「え、人?」


 中から現れたのは赤い鎧を見に纏った一人の男性であった。その男性には俺と同じ模造剣が握られている。


「まさかこの俺様が呼び出されることがあるとはなぁ。前代未聞じゃねえのか、これはよぉ?」


 そう言うと赤い鎧を纏った男性は魔力を身に纏い、こう告げる。


「俺の名はグレイ・バーラント。『紅の騎士団』序列五位だ」

「はい?」


 『紅の騎士団』、それはここリンゼルハイム王国において最強と呼ばれる騎士団のうちの一つである。

 そんなまさに理不尽を具現化したような強力な存在が俺の目の前に現れるのであった。

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