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外伝・弐 『太陽姫の目覚め』後編

これまで登場してきた『能力値』は本人の『能力』との適合、熟練度などを総合的に評価したものでしたが、これは強さの比較の参考にならないと言う事だけお知らせさせていただきます。

強さの指標となる物を考えたいと考えています。



それは夢だった…見知らぬ少年が私に向かって手を伸ばしている

そしてこう言う

『僕が君を導く…光になる…だから、僕と一緒に来るんだ』







シャイン=フルード side



「お〜い…起きろ…死にたいのか?」

そう呟く声が耳に入ってきたかと思うと、私は目を開けてその人物を凝視する

「貴方は…誰?」

「そんな事より、ここに来た時にはこんな惨状だったんだが…何か覚えていることはあるか?」

シャインが周りを見渡すと、ここを守っていた騎士と私の世話をしていたメイドが惨殺されており…外では大きな衝撃音が響いている

その瞬間…その少年がシャインを抱えて飛び上がる

同時に小屋の屋根は崩壊し、その光景が顕になる


そこにいたのは…

「『悪魔族』」

「流石に知ってるか…心配しなくても、俺の仲間が抑えてるよ」

悪魔の下には小屋に墜落したと思われる、少年の仲間がいた

「あ〜あ…これ零様に見繕ってもらった奴なのに」

「また、見繕ってもらえよ…」

「こういうのは…1つ1つが大切なものなんです〜」

その少女は…『統一国家レギオン』の『執行人』の1人…『氷の刃』桐崎菜々だった

菜々は氷で武器を創り出す、単純な刀ではあるが…一般的な刀より軽量化が施されている

菜々の姿が掻き消え、悪魔族まで近づき…刀を振る

悪魔はその攻撃を難なく防ぐ…

だが、菜々は悪魔を足場として利用し…空中を掴む動作をする

すると、『天氷塊』が空中に無数に現れ…悪魔を狙う

「チッ」

悪魔が舌打ちし、『天氷塊』の攻撃が直撃する

しかし…斬撃が発生し、『天氷塊』は砕け…悪魔と菜々は地面に降り…向かい合う

「人間にしてはやるじゃないか…貴様…何者だ」

「そんな事が知りたいの?じゃあ私からも聞かせてよ…なんで『シャイン=フルード』を狙うの?」

「それが…私に下された命令だからだ」

「へぇ〜誰がそんな命令を?」

「人間ごときが知って…何の意味があるというのだ?」

「何の意味もないよ…時間を稼ぎたいだけだから」

菜々が笑顔で返すと、悪魔はハッとして周囲の砕けていた『天氷塊』が凄まじいスピードで悪魔を囲い込んでいる

悪魔が剣で振り払おうとするが…笑顔のまま菜々が告げる

「もう遅いよ…爆散するから」


『天氷塊』

桐崎菜々の権能は『天神』…これは、『天使』たちが自由自在に操作することが出来る『聖』に属するエネルギーを天使と同じ次元で使うことが出来る権能だ

桐崎菜々は『神の使徒』ではないが、零にも匹敵する『執行人』の中で一、二を争う能力者だった

この『天氷塊』は『聖』のエネルギーで創造された『天氷』を召喚する…故に膨大なまでの『聖』のエネルギーを隔離している菜々の、思うままに爆散させることが出来る



『悪魔』にとって天敵とも言える、『聖』のエネルギーを正面から食らい…その身を保つ事だけしか出来ない満身創痍状態に陥る

「こいつ…『天使』と同様のエネルギー…ただの人間の分際で…」

悪魔は倒れ…その視界にはシャインが映る

悪魔が目を見開き…シャインに最後の力を振り絞って魔法を使用しようとするが、氷の裁剣が落下し…悪魔の体が消滅する

「最後まで諦めなかった姿勢は評価するよ…名前も知らない悪魔さん」

菜々は響介とシャインの方を見る

「じゃあ行こうか…2人とも」

「あの…貴女たちは?」

「あぁ…説明してなかった…斉木よろしく」

「はぁ?ここは俺より立場が上のお前がやるべきだろう」

「いやいや…立場が下の君がやるべきさ」

菜々はドヤ顔をするように手を腰に当てる

「はぁ…もういい…あんた…シャイン=フルードだろ?」

「はい…」

「俺たちは『統一国家レギオン』の『零様』直属の部下『執行人』だ…今回はあんたの保護を命じられたんだよ」

「保護?」

「今回俺たちがこの国に足を踏み入れた理由は…『ライト』の就任式への出席…それと、あんたの亡命だよ」

「亡命…って?」

「この国の一部の人間にとってあんたの存在は良いものじゃない…その一例はあんたの母親の件だ」

「母様?母様は事故で死んだと…」

「…聞かされていなかったのか…あんたの母親…『エレイン』はあんたの存在を否定する団体に暗殺されたんだよ」

シャインは衝撃を受ける

「どういう…事」

「あんたの父親である、テレスと兄であるライトは…あんたを守る為にこんな辺鄙な場所に小屋を建て…あんたを外敵から守ることを決めた」

「そんな…話…聞いてない」

「だろうな…敵は内部にも潜んでいる事を2人は知っていた…それを特定する方法を模索している内に…国王は国王テレスは亡くなってしまった…」

「父上…お兄様…」

「そして、今回…零様に手紙が届いた」



___


零は届いた書状を見る

「…パンドラ…ジキルを呼んでくれ」

「かしこまりました」


数分後、零の部屋のドアを開けて…金髪の男性が入ってくる

「お呼びですか?零様」

「あぁ…『執行人』は1人分枠が空いていたよな?」

「はい…『裏切り者』を処分したばかりですから」

「ならば…1人分の枠が埋まったぞ」

「唐突ですね…わかりました…全員に伝達をしておきます」

「あぁ…よろしく頼む」


書状には…『太陰国』の裏切り者を特定した事…そして、『シャイン』を保護して欲しいことが書かれていた


__________


「__兄様が?」

「あぁ…そこにはライトの計画も記載されてあったらしい…それが何かまでは俺は聞いていない」

「兄様…」

「じゃあ行くぞ…俺たちはこのまま『統一国家』に…」

その瞬間…爆発的なエネルギーが放出され、シャインは本国の方に向かう

「おい!」

「あ〜あ…逃しちゃった」

「そんなこと言ってる場合か…追うぞ」

「いや…あの子を追うより…援護が必要みたい」

「は?」

菜々は本国の方を指す

そこには、闇のオーラの塊が浮かんでいる

「あれは…」

「行くよ」

菜々が走り出し、響介もそれに続く



______



名前:ジキル

能力:『???』

能力値:???

称号:『統一国家の執行人 筆頭』『???』



名前:桐崎菜々

能力:『天神』

能力値:6000万程度

称号:『統一国家の執行人』『零の信奉者』



名前:斉木響介

能力:『神拳』

能力値:4000万程度(通常状態)

称号:『統一国家の執行人』



______



ジアエル side


ジアエルはその翼をはためかせ…そこに降り立つ

「いたいた…そこまでにしておいてくれない?そこの君」

そこに居たのは騎士達と対峙している少年だった

「?…この気配…『天使族』?て事は…『聖魔全能神』の手下か」

「『手下』?そんな言い方は嫌いだなぁ…クソ天魔」

「…『天使』だからと言って…僕を卑下する権利はないのではないか?」

ジアエルは『テラの大鎌』という名である神器を召喚する

少年は闇のオーラで双剣を形作る


「いいや…私にとって…零様の敵は…生きている価値のない生物だからね」

ジアエルの足元に『地属性』のオーラが広がり…地面から棘が無数に現れ…少年を狙う

「これだから…『天使』は嫌いなんだよ」

少年は逃げるどころか、その棘が発生した方向に走り出し…双剣で棘を破壊し…ジアエルに迫る

少年が飛び上がり…ジアエルに双剣を振るが、大鎌に阻まれる

ジアエルは少し笑う

「君…ただの天魔じゃないね」

「それがどうしたんだい?関係ないだろう!」

ジアエルの瞳が光ると、ジアエルの後ろから岩の柱が発生し…少年を後ろに吹き飛ばす

少年は体勢を立て直し…ジアエルの方を見る

「…僕は『混世六天魔(レヴィアヘクス)』の1人…『魔剣』のイヴィア…よろしく」

ジアエルは見下すような顔でイヴィアを見る

「何故急に名乗ったの?」

「あんた…『聖魔全能神』配下の『天聖十二神宮』の1人だろ…『リリス』様から聞いてるよ…僕たちの邪魔者だってね」

「あっそ…で?あんたの名前になんて興味が湧かない…あんたはただ…零様に逆らったことを『あっち』で後悔していればいいだけ」

ジアエルから膨大なオーラが放出される

そのオーラが鎧となり…『神霊武装』が纏われる

「それが…あんたの本気か?いいね…楽しくなってきた」

イヴィアは走り出し、ジアエルに斬り掛かる

ジアエルはイヴィアの攻撃を受け流し、天に手を翳す

すると、光る岩石が降り注ぐ

イヴィアは凄まじいスピードで飛行し、それを交わすが…ジアエルに近付けずにいる

「(近づけない…さすが…『聖魔全能神』の配下)」

「…私思ったんだけど…君…本当に『混世六天魔』なの?」

イヴィアは避けるのに精一杯で応えることが出来ない

「私は何人も『混世六天魔』と戦ってきたけど…君みたいに弱くないよ」

「黙れぇぇぇ!」

イヴィアが双剣で斬り掛ってくる

「そっかそっか…君…『天魔皇』の残滓から力を奪ったんだね…通りで異質な気配がする訳だよ」

ジアエルはイヴィアの双剣が間近に近付いていてもなんの反応もせず

意識するだけで『岩柱』を創造し、イヴィアを遥か天空に吹き飛ばす

「その事を『リリス』が知ったら多分殺されてたと思うけど…よかったね!私が君を…『殺して』あげるから!」

ジアエルは笑顔のまま…鎌を振りかぶる

すると、イヴィアの眼には…その鎌が数百倍にまで大きく見える

そして、イヴィアの心中を『絶望』が支配する

鎌は…イヴィアの首を…肉体を…全てを葬り…イヴィアの魂を破壊する

ジアエルは『神霊武装』を解き…鎌を肩に乗せて王城の方を見る

「『魔神化』?…まぁいいか…零様のところに戻ろ〜っと」




_____



『パイモン』が『魔神化』の準備を果たし、飛び上がる

しかし、2人はそれを追おうともしない

『『魔神化』…追わなくてもいいのかい?『ゼロ』』

「…あれは僕の仕事じゃない…さて…『ヴェリアル』…なんで君はまだ…ここに止まっているんだい?」

『…名高い『超常神』に再びお目にかかれたんだ…少し話をしたかったのだが』

「僕はお前に話なんか無い…『帝世の六魔皇(イーヴィルオラクル)』などと言うお遊びは楽しかったか?貴様は『悪魔』でありながら…人間との共存を謳っているそうじゃないか…笑わせるな…」

『私は至って真面目だ…今や世界は『人間』が支配しているようなものだ…『神族』の居なくなった今…我々と人間が争う必要は無くなったのだよ』

「今は『神界』に『真神』が居る…それをお忘れのようだ」

『奴らはこちら側になんの干渉もしてこない…それは、この500年間もの歴史が証明している』

「『神の使徒』や『代行者』はどうなんだ?」

『それらでさえも…元を辿れば人間だ…『神』じゃないよ』

僕は…その答えを鼻で笑う…そして『神帝(エデン)』を召喚する

「やはり…僕は君が気に入らない…失せろ」

僕の放った斬撃をヴェリアルは片手で弾く

『気に入らない…か、私は君に何かしてしまったかな?』

「彼女の望む世界に…『悪魔族(お前達)』は要らない…『冥界』に引っ込んでいろ」

『やれやれ…少しだけだよ』

ヴェリアルは己の神剣…『冥王(ハデス)』を召喚し、『神帝』とまともに打ち合う

『パイモン』によって破壊された王城の上半分はその衝撃波で完全に消し飛ぶ


その様子を離れた場所で、見ている赤のローブを着た女がいた

「セレナ様…例の『天魔』が…」

「…うむ、『計画』は失敗だな…あの『悪魔』…パイモンがいると言うことは…我らの宿敵『レヴィアタン』も来ると言うことか…」

「いかがしますか?」

「『太陰国』での『計画』は一時停止を余儀なくされた…『天魔皇』の残滓を与えて完全に復活させた『天魔』が殺されたのだ…一度本国に戻り…『無色原典』様に指示を仰ぐことにしよう」

その女は部下2名を連れてその場を離れ始める

消える直前…その女は零とヴェリアルの気配の場所を見る

「恐ろしいものだ…『聖魔全能神』の殺意がこの国全てを包んでいる…一歩間違えば…死ぬな」



『神器』のぶつかり合いは周囲の物を吹き飛ばすほどの衝撃波を発生させる

零の眼が金色に光り、『氷塊』が刃となり…ヴェリアルを狙う

ヴェリアルはオーラを翼として空中に漂う

「かつての権能は使わないのか…それとも…舐められているのか」

「『落ちろ』」

その瞬間…ヴェリアルは凄まじいスピードで地面に落下する

零は城の上からヴェリアルを見下ろす


零の『全能神』とは別の権能には『神帝者』と言う状態がある

これには、『無条件の命令強制』『能力無効化』『魔法封殺』『物理攻撃封殺』といった…チートと言ってもいい権能が常時発動状態となる


「そうだった…忘れていたよ…君の権能を」

ヴェリアルは難なく着地し、零を見上げる

零を天空に手を振りかざす

すると、『神氷』が降り注ぐ

ヴェリアルは足元から『闇』のオーラを盾として、その攻撃を防ぐ

その盾が無くなると、ヴェリアルは笑って上を見上げる

「『超常神』の権能を使わず私を仕留めようとしないで欲しいものだ」

広がり続ける『闇』は膨れ上がり…触手のように零を狙う

しかし、零に触れることなく『闇』が浄化されていく

「何?」

「『冥王』…ライトを解放しろ…命だけは取らないでやる」

その言葉を…ヴェリアルは笑い飛ばす

「笑わせるな…私は『始まりの悪魔』…君と同等の立場だ…君でも私を殺すことなど出来はしない」

零はヴェリアルを見つめる

「試してみよう」


瞬間…零の姿はヴェリアルの横に現れ、『神帝』を振る

ヴェリアルは反応が遅れ…後ろに飛ばされる

「(なんだ!この速度…まるで…『雷霆神』ゼリエル!)」

「遅い」

その瞬間…『太陰国』内すべての生命体の動きが止まる

「(時間停止…じゃない…これは!)」

「僕の前に…『跪け』」

次の瞬間…ヴェリアルは膝をつく


「そうか…『始まりの天使』を…『雷霆神』ゼリエルを…取り込んだな!」

「それは言葉足らずだ…あいつは僕に負けた…だから、『核』を吸収しただけだ…僕の『覚醒』の糧として」

ヴェリアルは零を睨んで…告げる

「化け物が」

そして、ヴェリアル…ライトは倒れる

そこに、パンドラが現れる

「零様…『魔神化』が」

零はパイモンの方を見る

「まだ大丈夫だ…お前はライトを頼む……お客さんだ」

零の見る方には…ヴェリアルの残していった『闇』の残滓から生まれた人型の怪物が発生していた


しかし、その怪物は凍結し…滅び行く

「…菜々か」

そこに…菜々、響介、シャインが到着する

「零様!」

「何故ここに来た…『統一国家』に戻れと…」

「申し訳ありません…シャインが…」

シャインはライトに近づく

「兄様…」

ライトは薄目を開けてシャインに笑いかける

「聞いてしまったのだね…『母様』の事件の真実を」

「えぇ…なんで…あんな嘘を」

「すまない…君が…真実を知るには…」

「なんで!私にも背負わせてくれないの!」

「僕は…」

その瞬間…パイモンの『魔神化』が完遂され…邪悪な波動を放つ

ライトの目はシャインではなく、零を見る

「ゼロ様…もう時間がありません…どうか…」

「シャイン=フルード…僕は彼と話がある…あれの相手は君に任せる」

「は?私は…」

「君に『大権』を返そう」

零がシャインに触れると、シャインは頭を抑えて苦しみ始める

「堪えろ…痛みはすぐ引く」



______



「…『大権』を預ける?」

「はい」

「なんでか聞いたほうがいいか?」

「私は『大権』無しでも『太陽』の権能をある程度扱えます…」

「必要なくても、それは君が君である事の証明なんだぞ?」

「ゼロ様…『転生』の魔法を得意としていない私は…おそらくは『記憶』を引き継ぎ切ることは出来ないでしょう…『保険』と言う意味合いでも…貴方様に守っていただいている方が良いのです」

「…分かった…僕の無理を聞いてもらう…お礼だ」

「……ありがとうございます」



______



「この…記憶は」

「僕の覚えている限りの記憶もお前に返してやる…あとはお前に任せる」

シャインが目を開き…零の前に跪く

「お久しぶりでございます…ゼロ様」

「あとは任せる…」

「御意」

シャインは『陽剣』を召喚し、パイモンの元へ飛んでいく

その様子を…ライトは心配そうに見つめる

「心配はいらない…『大権』の使い方も思い出しているはずだ…『魔神』如きには負けない」

「…そう…ですね」

「ライト…『最期』の話をしようか」

ライトの目は零の姿を捉える

「…はい」



________



シャインはパイモンの前に浮かび上がる

「『陽剣』…懐かしい武具ね」


パイモンは手を顔に当てて苦悶する

『…殺し…滅ぼし…我が主人に…報いなければ』

「あなたの主人が誰かなんて興味はないけれど…さっさと死んでもらいますよ」

パイモンは手の間から眼をのぞかせる

その眼は赤く染まり…シャインを睨みつける

『報いなければ…死ぬのみ』

パイモンは自身の背後に赤黒い時計の文字盤を出現させる

『壱之刻』

文字盤が『I』を指す瞬間…シャインが何かに弾かれ…横に吹き飛ぶ

「(何に弾かれた…)」


『パイモン』と言う悪魔は『創世』以前より『嫉妬の魔神(レヴィアタン)』と共に人類の天敵として語り継がれている

その権能は『処刻』と言う

文字盤に書かれた十二の数字には極技の前段階としての意味を持っている

針が再び『ⅩⅡ』を指した時…その極技が発動することを意味する

しかし、それは…魔神化する前の話


シャインは動きを止め…自身のまとうエネルギーと周囲の魔素を膨大に込めて…『陽炎』として放つ

『弍之刻』

パイモンの目の前に『陽炎』が迫る…が、何かに阻まれて『陽炎』が消え去る

「防がれた…なるほど…そう言うことか」

シャインは『陽剣』を掲げる

「貴様のくだらない権能を見るのも飽きた!『陽炎覇(プロミネンス)』!」

陽炎のエネルギーがパイモンを包み込み…その不可視の物体を顕にする

「やはり…『機神』のなり損ない…いや、力の一部を再現したものか」

『参之刻』

不可視必中のその攻撃は…『陽剣』の加護によって完全に封殺される

『肆之刻』

『伍之刻』

『陸之刻』


立て続けに放たれる攻撃は…『陽剣』の加護にヒビを入れて行く

「これは…『機神』の権能か」

『何故…私の邪魔をする…人間』

「それは問いか?それが…私の敬愛する『神』の望みだからだ」

『理解不能だ…』

「君は『太陽』を見ることが出来るかい?」

パイモンは不可解と言った顔でシャインを睨む

「『太陽』の輝きは…あらゆる物を照らし…光らぬ物を輝かせることが出来る…『太陽』の輝きは…暗黒を照らし…『魔』のオーラを消しとばす!」

シャインが『太陽の大権』を解放し、周囲を照らす

「『浄化陽光(ホーリーサンシャイン)』!」




_______



ライト=フルード side


ライトは仰向けになり、起き上がることが出来ずに零を見つめる

「事態を防ぐことが出来ずに申し訳ございません」

「『流れ(シナリオ)』に乱れが生じたか?」

「僕の預かり知らぬところで…『魔導国家』の邪魔が…」

「…『魔導国家』か…『七色原典』を他国に配置しているあたり…何か企んでいるとは思っていたが…『国取り』とはな」

ライトは上空を見上げる

「零様…願いを聞いていただけますか?」

「…聞こう」

「僕の『大権』を…あの子に…」

ライトの瞳にはパイモンと戦っているシャインが映る

零はライトを見る

「好きにしろ」

「ありがとうございます」

ライトは手をシャインに翳すように挙げる

「シャイン…お前は母様にそっくりだ…お前なら…きっと」



______



『太陽の大権』を解放したシャインを包み込むように『陰』が広がっていく

「これは!」

その『陰』は『陽剣』に宿る

そして、『陽剣』は黒く染まり…内包している『魔力量』を10倍以上引き上げる

シャインは下にいる零達の方を見る


ライトは力尽きて腕を地面に落とす

「兄様…ええ…その期待…答えます」


パイモンはシャインを狙う

「『陰陽覇霊神波』」

シャインがそう呟くと同時に…パイモンは『陰』に動きを封じられ…『陽光』の刃で斬り刻まれる

『バカな…貴様…』

パイモンは塵一つ残すことなく消滅する


シャインは『黒陽剣』を携えて国を見下ろす

そして、零と目が合う

「『零様…』」

「『お前の好きにしろ…僕が許す』」

零達は『転移』で姿を消す

「(感謝します…零様)」


『禁忌魔法 陽日崩滅覇(オーバードライブ)





その日…『太陰国』と言う国は…全てが蒸発した

国民が最後に見た景色は…太陽などよりも強い陽光であった




_______



魔導国家ベネティアス 魔法院


セレナはその人物の前に跪いている

その人物は仮面をつけた少女だ…その背後には純白の騎士服を身に纏っている女性が立っている

「__『太陰国』は消滅…ね」

「寧々様に頂いた『天魔皇』の残滓も…」

「それは別にいいよ、どうせ使い道なんてなかったような物だし…『赤色原典』…今回は『聖魔全能神』の邪魔が入ったから仕方ないけど……次は無いから」

淡々と告げられるその言葉に…『赤色原典』セレナ=グレアスは言いようのない恐怖を感じる

「承知しています…失礼します」

セレナが出て行くのを寧々はただ見つめる

「…エーテル」

「いかがしましたか?」

寧々の後ろに控えていた騎士が応じる

「『総督』には私から報告する…でも、『統一国家』の監視は怠らないように」

「心得ています」

「期待してるよ…君は私と同じ…最古の『原典』…『白色原典』なんだから」

「はい…『無色原典』様」




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