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外伝・壱『白神零』と『天月芽愛』前編

白神零の始まり…そして…終わり


序章『親愛と純愛』


本章からおよそ10年前


僕は生まれながらに…普通ではなかった

一族の血筋に原因があるらしい

僕の親は僕が生まれてすぐにいなくなった

僕は父の弟子だった『天月芽愛』に引き取られた

物心着く前から一緒だったから、僕は最初…彼女を母親だと思っていた

彼女もなるべく母親であろうとしてくれた

だが、日が経つにつれて…彼女が本当の母親でないと僕は感じていた

そうであっても…僕は彼女に親愛に近い何かを感じる

僕が彼女に感じていた感情は…『親愛』なのか…それとも…


僕はそんな彼女を僕から奪ったそれに…刃を向けていた

「僕は…あなたを守りたい…だから…もうやめてくれ!」


____________


名前:白神零

能力:『全能』『**』

能力値:2000万程度

称号:『聖魔全能神』『全能神の使徒』『転生者』

武具・神具:**

詳細:天月芽愛を師と仰ぐ少年…まだ10歳程度だが、かなりの上位者と言える


名前:天月芽愛

能力:『精霊使役者(エレメンタラー)

能力値;6500万程度

称号:『勇者』『***の転生体』

武具・神具:『霊神剣(オリグロス)

詳細:零の母親代わりとして彼を育てる女性


____________




本章①『始まり』


その日は何の変哲もない1日のはずだった

いつものように母さんと過ごしていた

「零君…お願い…できない?」

「わかりましたよ…来てください」

そう言って、僕はソファに座った…すると、母さんは僕の膝枕で心地良さそうに笑顔を浮かべる

「大丈夫なんですか?国王は大丈夫でしょうが、あの宰相は…」

「大丈夫♪…早く終わらせて…帰ってくるよ」

「…わかりました…でも、気をつけてください」

「も〜う…零君はマザコンかな?」

「…揶揄わないでくださいよ…」

母さんは数十分僕の膝で寝ると、立ち上がって支度をし始める

「じゃあ…留守はお願いね」

母さんは僕の頬にキスして外に出ていく



それ以降…一週間…母さんは帰って来なかった


____________


名前:ジャルダ=ウェインクロフト

能力:『剣戟』

能力値:1000万程度

称号:『法王国近衛筆頭騎士』『剣聖の孫』

詳細:____________



____________




私は『法王国』の呼び出しで、王城に向かっていた

この村から王都までは街道で繋がっているものの半日はかかる

王都までもう半分まで差し掛かったところで、『感知』に何かが引っ掛かる

「それで…君は誰なのかな?」

私は剣に手を掛ける

「よくわかったじゃねえか」

騎士の鎧に身を包む男が現れる

「その服…王国の聖騎士団だね」

「俺は法王国近衛騎士団の筆頭騎士…ジャルダ=ウェインクロフトだ…覚えときな…勇者様」

「覚えておくことにするよ…それで?何で私に剣を向けようとしているのかな?」

「分かるだろ?お前を始末しろって命令が下されてんだよ」

「そうなんだ…私が死んであなた達に何のメリットがあるの?」

「知るかよ…マリア様の思し召しだ」

「マリア…そう…じゃあ仕方ないね」

芽愛は『霊神剣(オリグロス)』を引き抜く

「私は死ぬわけにいかないから…君を退けるしかないね」

ジャルダは『聖剣』を引き抜く

「俺に勝てるつもり…かよ!」

ジャルダは芽愛が剣を引き抜くのを待たずに斬りかかる

「逆になんで君は私より強いつもりなの?」

その剣は空中に弾かれる…一瞬の間に抜かれた…芽愛の剣によって

彼は芽愛から大きく離れて…聖剣が落ちてくる場所で剣を受け止める

「…そうでなくちゃ…面白くねぇよな!」


ウェインクロフト家は…代々『剣聖』を排出してきた家系である

『法王国』に仕えるこの一族は今までの『天魔大戦』大きな功績を上げてきた

しかし、勘違いしてはいけない…『剣聖』は確かに強者に分類される

だが、それは…人間という枠組みの中での話である…ということを

その瞬間…ジャルダの剣は地面に叩きつけられ…首元に『霊神剣』を突きつけられる

「ごめんけど…容赦はしないから」

芽愛から発せられた光が…剣に宿り…ジャルダを後ろに吹っ飛ばす

「やるじゃねえか…勇者様よぉ」

ジャルダは芽愛の方を見る

「精霊王…だよな」

「よく知ってるね…勉強してるんだ」



芽愛の能力は『精霊使役』という天性の『才能・能力(加護)』である

精霊との契約で力を借りるのではなく…精霊に祝福され、精霊を惹きつけるという特性で…『精霊王』という『精霊』の最上位種でさえも彼女を見守っている

「化け物勇者が…」

ジャルダは血を吐き出し…立ち上がる

剣を持つ手を片手にし、奥の手として渡されていた物を取り出す

「勇者…ここまでの差があるとでもいうのか」

芽愛の剣を受け止めるが、ジャルダは強い衝撃に耐えきれず…肺が圧迫される

「グハ!…これで…引き摺り下ろしてやる」

吹っ飛ばされ…体勢を崩したジャルダは…『奥の手』を放り投げる


『古い研究文書』


実験No.1101011『精霊核爆弾』


上位の精霊の核を取り出し、『魔素』を込めることによって十分な爆発力を得られた

しかし、その不安定さから実用化は厳しいと判断される


_____________


その瞬間…爆発によって2人とも吹き飛ばされる

芽愛は『精霊王』の加護によって攻撃のダメージを軽減する

ジャルダは倒れたまま…剣を動かすこともできなくなる

「自爆で私を削った…何の目的で…」

彼女がそう言った瞬間…背後に気配が現れる

「それはね…あなたを消耗させるためよ」

芽愛が振り向くより先に…芽愛の腹が貫かれる

剣が光ったかと思うと…芽愛の腹を貫いた女が消えて…芽愛を乗っ取る

芽愛の眼が白く光る

「これで完了…少しの間…眠ってなさい…芽愛ちゃん」

その女は『霊神剣』を収納する

「大丈夫〜?ジャルダ君」

「大丈夫…だと…思いますか?」

「ううん…絶対無理だと思う〜」

ジャルダはかろうじて立ち上がる

「さぁ…約束を果たしていただきたい…僕の恋人ッ____」

その女がジャルダの横を通り抜け…その首を刎ねる

「あぁ…ごっめ〜ん…もう殺しちゃった〜」

その首は女を見る…最後の言葉が漏れる

「ば…け…もの」

「知ってると思うけど…私はマリア=クローネで『強欲』の使徒……もう聞こえてないみたい…残念」

女は芽愛の姿のまま…歩み始める




____________


名前:マリア=クローネ

能力:『強欲』

能力値:****

称号:『『強欲』の使徒』『勇者の妻』

詳細:『強欲』という『七大罪』の称号を与えられている女性

自身を『魂霊体』という状態にし、他人を乗っ取ることができる


____________



本章②『師匠への愛情の答え』



師匠がいなくなって一週間が経った

何人かの部下に探させているが、今のところ見つかっていない

『落ち着きなさい…あの方ならそう簡単に負けませんよ』

「…そう…かもな」

僕の心は早鐘を打つ…言い表しようの無い不安が僕を襲う

かなり広範囲に広げていた『感知』に芽愛さんらしき気配が掛かる

僕は飛び出し…その気配の正体を見る

「母…さん?」

「遅くなってごめんね〜」


顔も気配も何もかもが『天月芽愛』…だが、僕の直感がそれを否定する

「(どういうことだ…あれは…芽愛さんなのか?)」

僕は芽愛さんが予備として保管してあった刀に手を伸ばす

「何で?剣を向けるの?零君」

その圧倒的な気配が…僕の動きを止める

「芽愛…違う…お前は誰だ!」

「…気づけるんだ〜それだけ関係が進んじゃってた?」

「黙れ!」

僕は刀を振るが…芽愛さんに受けられた刀は砕け散る

「なっ!」

芽愛さんが剣を構える

「『霊魔法滅斬』」

その剣が僕の眼前に迫り…小屋ごと僕を吹き飛ばす

僕は倒れ込み…小屋の瓦礫の上に立つ芽愛さんを目端に捉える

「…『雷滅』!」

僕は地面に手を叩きつけ…雷撃を発生させ芽愛さんを狙う

しかし、いとも簡単にその攻撃を防がれ…芽愛さんは僕に近づいてくる

「なぜ…」

「あなたの攻撃パターンはわかるよ…あなた…芽愛ちゃんと模擬戦してたでしょう?わかりやすいのよ」

「…そ…れは…」

「あなたは力を持って生まれてきた…だから、それに頼り切ってる…違う?」

「僕の…白神のことまで…貴様…本当に何者だ」

「あら…もう忘れちゃったの?そうか…生まれてすぐに芽愛ちゃんに引き取られちゃったんだっけ」

「何…お前…まさか…」

「君の本当のお母さんだよ?」

「お前は…死んだはず…父さんが命を賭してお前を…」

「グリは…あの人は…私を殺したわ…でも、私は『光』を見たのよ…『光』が私を導いた…」

「『光』…『欲望神』…あいつ…また」

芽愛は僕の眼前に立つ

「あなたじゃ私には勝てない」

「…それは…あの人の言葉か?」

「…さぁね」

剣が振り上げられ…僕は目を閉じる


しかし、剣は僕に当たる事はなく…僕はパンドラに助けられる

「パ…ンドラ…」

「『ゼロ』様…ご無事ですか?」

僕は気を失う

「あなたは誰?」

芽愛はパンドラの方を見る

「あなたに名乗る名はありません…死にたくなければ去りなさい…その身体に免じて殺さないであげます」

パンドラはそう言って芽愛に背中を向けて去っていく

芽愛はパンドラに斬り掛かろうと一歩踏みだす

すると、パンドラが足を止め…『覇気』を放って芽愛を睨む

「無駄な事はやめる事をお勧めする…その人の身体を傷つけたく無いから」

その瞬間…芽愛の手から剣が吹き飛ばされ…彼女の足から力が抜けていき…跪く

パンドラの姿は消える

そこには、茫然自失状態の芽愛だけが残される




___________________



僕が目を覚ますと…そこはどこかの部屋の中だった

「起きましたか?『ゼロ』様」

「…パンドラ…助かったよ」

「とんでもございません…『ゼロ』様のためなら…どこにでも駆けつけます!」

「パンドラ…『ゼロ』って呼ぶのやめてくれないか?僕は白神零だ」

「そうですね…申し訳ありません…零様」

「情けない姿を見せたな」

「いいえ…貴方様の姿はあの時から何も変わっておりません」

僕は自虐的に笑う

「それは…僕が成長していない…と言うことかい?」

パンドラは自身の失言に気づいて慌てる

「!…決してそう言うわけでは___」

「分かっているよ…__僕は…あの人を救うことすら出来ない…ただの『人間』に成り下がったらしい…情けないよ」

「…しかし、それは貴方様の『目的』が達成されていることの証明と言えるのでは…」

「そうだね…でも、僕は弱い存在に成り下がりたかったわけではない…僕はただ…『完璧』になりたかった…」

「零様…」

「あの人を救う術すら…もう思いつかない…あの『強欲』は…あの人から記憶を取り出した…『魂』が完全に同化しかけているんだ…」

「…1つだけ…方法がありますよね」

パンドラは僕の様子を窺うように見る

「君はこう言いたいんだな?あの人を…芽愛さんとの日々を…諦めろ…と…その決意を持って…芽愛を…殺せ…と」





To be continued





次回予告



愛する人を助けるための唯一の方法…それは、愛する人を…『殺す』事


『僕は貴女を助ける…だって僕は…『全能』の称号を持つ神なんだ…それくらい出来なきゃ名前が廃ってしまう』


『…おかえり…零君』


そして、戦いの最中…零の眼の付近に…『神印』が浮かび上がる



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