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まずはこのガキに信用してもらわねぇとな。なんかおもしれぇ話でもしてやるか。


「んでだ、俺の機転のお陰で助かったちゅーわけよ」

「……」


うんともすんとも言わねぇな。少しは何か言ったらどうなんだ。


「俺はな、特別なんだ」

「……」


俺の眼のことは伏せておきてぇけど自慢してぇなぁ。いや……我慢しろ俺、昔を思い出せ。


「お礼として金貨とご馳走をもらってな」

「ご馳走!!」


なんだこの食いつきは、メシの話が好きなのか?


「あぁ、ご馳走がおいしいのなんの」

「どんなご馳走?お肉?お魚?」

「全部だ!美味しい果物もあったな」

「……すごい」

「そうだろう、次行った時はお前にも食べさせてやってもいいぞ」

 

旅を続ける。二人なので出費も嵩む。その上、子どもというのは難しい生き物だ。

体がすぐ壊すしちょっとしたことですぐ拗ねる。戦闘面でもまだ特別な能力が出ているようには見えない。


「足痛い、おんぶして」

「この程度で弱音吐いてんじゃねぇ、置いてくぞ」

「ヤダヤダ置いてかないで」


全くよ、ギフトってやつはいつになったら表れんだ。ギフトのギの字もねぇじゃねぇか。


あれから幾つもの町を通ってきた。ガキは相変わらずだが俺への信用ができてきたのでよしとするしかねぇか。

でも信用ができたせいか日に日に図々しくなってきやがる。


「それでな、その時に食べた料理が美味しくてな」

「それ食べてみたい!」

「あん?まぁお前の働き次第だな。よく働いたら考えてやってもいい」

「うん!!私がんばるよ、魔物退治だってすぐ出来たもん」


まぁ約束なんて守る気ねぇけどな。

というかお前、最初の魔物退治のときは泣きわめいてたじゃねぇか。

何がすぐできたもん、だ。これだからガキは嫌いだ。


旅をしている途中で笑顔が増えてきた。よしよし俺の老後は安泰だな。

戦いも大分こなれてきた。最悪盾にもできるしいい下僕ができたものだ。


「おい、まだか。ゴブリンがこっちにもいるぞ、早くしろ」

「待ってここ片付けたらいくから」


本当に要領わりぃな。このくらい早く倒せってんだ。


「おじさん、もうちょっとレンケーしてほしいな」

「俺だって意識してる、お前が合わせろ」

「いっつもそればっかり……」


なんか減らず口が増えたな……いやコレが素なのか?


今日も依頼された仕事がおわる。報酬はまぁまぁといったところか。

やっぱり一人でやるよりも二人でやるほうが断然楽だな。

前に臨時パーティーを組んだことあったがあれは最悪だったな。報酬は均等に分けないとダメってなんなんだよ、俺が一番役に立ってるっつーのによ。


それが今なら実質俺の一人占め。一人の時より生活費はかかるけど、稼ぎに比べたら屁でもねぇな。

ガキも知ってか知らずか報酬のことには何も言わない。手懐けた甲斐があったというものだ。

さて帰って飯でも食うとするかね。


「今回は稼げたからな、いいもん食わせてやるよ」

「やったー、ご馳走ご馳走♪」


ちょろいもんだな、メシさえやれば喜ぶんだからよぉ。

俺の懐が痛まないのならなんでもいいけどな。


「このお肉にこの魚も食べたい」

「はいはい、どうぞご自由に」


にしてもよく食べる。成長期だからなのか異端の能力値のせいなのかはわからんが。

でも所詮子どもだな、大した量たべねぇな。

寧ろこんな店で食べられるなんて、前の俺では考えられなかっただろう。ガキには感謝しねぇとな。


次の日、眼の痛みで目が覚めた。


「なんだ、クソいてぇぞ」


目から涙が止まらん。

その上くしゃみもでるし鼻水もでる。

他はいいとしてもこの眼は守んねぇと。とりあえず洗えばいいのか?

目を洗うと幾分かマシになった。しかしキツイことには変わりない。


窓を見てみると砂?みたいなものが見える。木から出てるように見えるがあれのせいか?

まぁいい、こんな町はもうおさらばだ。すぐに旅にでる準備をした。


「おい、起きろ。町をでるぞ」

「ん~、なんでこんな朝早くから出るの。もっと後にしようよ」

「んなのんびり言ってられるか。ほら準備しろ」


春鈴は渋い顔をするが無理やり準備をさせる。一刻も早く出たかった。

眠気まなこの春鈴を連れて次の町へと出発をした。

グズったとき用にお菓子を買っておいて正解だったな。目がクソいてぇ。


次の町でギルドにいくと、少し見られている気がした。

どうやら、最近おっさんと幼女の二人組が少し活躍しているのが噂になってるらしい。いいことだな。

そのお陰かギルドは割のいい依頼を紹介してくれた。


「お腹へったお腹へったー。はやく何か食べたいよ」

「お前いつもいつも飯飯うるせぇなぁ、一人前に稼げるようになってから言え」


依頼が終わったらいつもうるせぇな。


「今日は頑張ったからお肉がいい」

「ちょっと待て、報告が終わってからにしろ」

「はーい、デザートもつけてよね」


よく食べる奴だ。金のためだ、仕方ねぇか。


無事に終えたことを知るとギルドでの信頼は格段に上がった。

顔見知りも増えた。今まで俺に話しかけてくるやつなんて、物乞いくらいしかいなかったのにだ。

皆が俺に頼ってくる。悪い気分ではなかった。


ある日ギルド長に呼ばれた。近々古代遺跡の調査をするらしい。

幾つかのパーティーを集め遺跡の調査をするのだが、参加してくれないかとのこと。

噂ではダンジョンに変貌しており、魔物が多くすみついているそうだ。


「それで急に決まったので参加してくれるパーティーが少ないんだ。君たちの噂は最近聞いてる。君たち程の上なら大丈夫だと思うんだ。報酬はあまり出せないけど受けてもらえないだろうか?」


「あー、最近いそがしいんだよな。すげぇいそがしいけどギルド長の頼みだから仕方ねーな。」


危険かもしれないのであまり参加するものが少なく、困っていたところに俺たちが来た……と。

提示された報酬はそこまで多くは無かったが俺は依頼を承諾した。

だって古代遺跡にはいいものがあるって相場だからな。

最近は調査済の遺跡が多いから少ないが、今回は未調査ということで金になる物が見つかる可能性があるな。


「グフフ、あの遺跡で珍しい物が手に入れば金をたんまり儲けられるじゃねーか」


見つけたものはギルドが一度押収したあとに配分を決定するなどといってたが、俺の知ったことじゃねぇ。

こっそり隠して持ち帰れば俺が独占できる。俺が見つけたもんは俺の物だ。他人なんかに分け前なんてくれてやるかってんだ。


次は10時頃に投稿します。

明日投稿分で完結になります。

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