光
君は光を見たことはあるか。
僕は小さい頃から、とある光を見てきた。一番小さいときの記憶では、タンクローリーの玩具に窓から光が差し込んでキラキラと輝いて見えていた。変な薬物はやっていない。生まれつきボーッとするとそう見えるのだからしょうがない。
サスペンションや油圧系統の銀色が、何十にも輪にかけたように光って見え、時にそれは十時の虹色の光となって僕を魅了した。
その上、やることがほとんど思い通りになった。君は世界が自分を中心に回っているような気分になったことはないか。胸がスッとしてスキップしそうな気分。これがほぼ毎日現在に至るまで僕は続いている。
だからその雰囲気に引かれて回りに人が集まったのだろう。
中学生の時点では、あらゆるテストで90点以下をとったことがなく、学校の先生の過半数が僕のために口利きをしてくれていた。休み時間にはクーラーのある校長室で遊んでいたし、中にはテスト中に答えを教えてくれる先生までいたのだった。
僕はそれが普通だと思っていたのだ。
これは本当の話だ。狂暴なまでの他者との違いは、ある時期を迎えてほぼ確実な成長を見せていた。
僕をいじめた同級生は親に言いつけたようだったが、学校は何の対応もしなかった。正確には、なかったことにする方向にシフトした。僕の親は僕が学校でどんなことをしているのか全く知らなかった。家に電話すらかかってこなかったのである。
当然警察にも連絡は行かなかった。
学校では先生があの事件で学校を辞め、虐めてきたあいつも転校していった。どう言うことかというと、虐めてきた人が今度は虐められる対象となったのだった。
皆が僕にしたことを見ていたので、そっくりそのまま返されたのだ。
そんな学生生活を送っていたので、やっぱり僕はまわりと違うのだった。
今もそうなのだが、僕はどこかのグループに所属しない。
例えば、休み時間にサッカーをするグループとバスケットボールをするグループがあったとする。僕はそのグループのどちらにも所属しないがその日の気分でどちらにも参加した。
学生間にも派閥のような物があって、時にそれは不可侵の物となるが、知ったことではなかった。
僕に言わせればそんな枠組みはどうでもよかった。
だって僕は、ほぼ全ての人間と古くからの友人のように振る舞えるし、弟や兄貴のように振る舞うこともできた。実際みんなもそうやって扱ってきた。人の心に入るなど造作もなかった。
人に好かれるタイプと言うのはいるのだ。
もし、君が同じ人種なら、分かっていると思うが、人が欲しがるものは簡単に与えてはいけない。涎を出させ、恋い焦がれさせることが、コツである。
僕はどこにもいないし、どこにでもいるのだ。
ただ、その人間関係の薄っぺらさに飽き始めていた。この時点で友達と言えるような人はいなくなり、自分と同じ特性を持つ人間を探し始めていた。
その時、僕は恩師にであった。