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魔法使いと繋がる世界 ~三つ子の魂編~『2024年改訂版』  作者: shiori


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第十三話「繋がる三つの魂」3

 翌朝、私は諸事情により落ち着きのない気持ちでソワソワしていた。

 少し火照った頬のまま部屋を出て、ダイニングに向かうため階段を降りた。


 ダイニングにはすでに叔父さんも叔母さんも光もいて、ちょうど朝食の準備をしているところだった。


 私が音を立てないようこっそりダイニングに入ると、光が挙動不審な私の様子に気付いて、じっと私のことを見つめたままポカンとした表情を浮かべた。


「おはよう、どうかな? 私、似合ってるかな……?」


 私は今日からずっと着てきたおばあちゃんから譲り受けた黒いローブをやめて黒いワンピースに着替えた。


 勇気がとてもいるイメージチェンジに朝から私は鏡の前で悶絶していた。


 いざ着てみると足元がスースーするし、今の若い子がオシャレで着れるようにと設計されているためか、生地が薄いのもあって、動くとやたらヒラヒラと揺れて恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。


「ちょっと黙られると、恥ずかしいってばっ!」

「あぁ、ごめん、何か可愛くなったなって、ビックリしちゃった」

「そうかな? 変じゃない?」

「変じゃないよ、 似合ってると思う」

「本当? それならよかった」


 私はホッと胸を撫でおろして、席に着いた。

 まだ4月の早い時期にこのワンピースは肌寒いけど、心機一転、気持ちを入れ替えることが出来そうだった。



 私は光と登校して最初にお世話になった樋坂くんと唯花さんにお礼を言いに行った。


「色々とお騒がせしましたが、無事家から通うことになりました。お二人ともありがとうございました」


 私は丁寧にお辞儀をして、二人に感謝を伝えた。


「いいのいいの、私こそお節介焼いちゃって、色々驚かせちゃってごめん」


 面倒見が良くてクラスでも人気のある唯花さんならではの気遣いのある言葉だった。


「元気そうで良かったよ、転校早々あのまま風邪を引かせてたら、通いづらくなるだろうしな」


 樋坂君も唯花さんと負けず劣らずの調子で、優しい笑顔で私のことを受け止めてくれた。

 本当に頼りになっていい人達だなと、私は一段と二人が好きになった。


「あの、舞ともお話しできたので、もう大丈夫です、お騒がせしました」


 私がお辞儀をしながらそう伝えると、唯花さんは舞のことを思い出したのか、優しい表情を浮かべた。


「そっか、よかった。私も久しぶりに舞とゆっくり話せてよかったかな。お店の事も最近はずっと任せっきりだったから。

 大切なことを気付かせてくれて、稗田さんには感謝してるよ」


「そんな、唯花さんが説得してくれたから、一緒に暮らすことが出来たので、感謝でいっぱいです」


 恐れ多いと思いつつ両手を合わせてジェスチャーしてしまう私。

 スタイルが良くて頼りになる唯花さんを見ていると自分がちっぽけに見えた。

 だけど、それが嫌にならないくらい、思いやりがあって見ているだけで幸福を呼んでくれるような眩しさが唯花さんにはあった。


「うんうん、よかったよかった、説得した甲斐があったよ」


「浩二は余計な事しただけでしょう? 全部私がフォローしてるんだからっ」


 便乗して間に入った樋坂君の言葉はあっさりと唯花さんに否定された。

 幼馴染と聞いていた通り、二人の関係性が良く分かるやり取りだった。


「俺だって力になれると思ってだな……」


 相変わらずな二人のやり取りに、私は新参者ながら和やかな気持ちを共有することが出来た。


「いえいえ、お二人とも感謝してます。樋坂くんも、お家にまでお邪魔させていただいて、ありがとうございました」


 私は努めて明るい笑顔で二人に改めて感謝を伝えた。

 前向きな明るさを取り戻せたおかげで、私の様子に二人も満足げだった。


「あの、樋坂君、ちょっとだけいいですか?」

「ああ、どうした?」


 私は樋坂君に伝えたいことがあったので、他の人には聞こえないように、ちらっと時刻を確認した後、樋坂君を連れて廊下に移動した。


「すみません、わざわざ呼び寄せてしまって、真奈ちゃんの事でお話しが」


 もう始業前の時刻になっていて、生徒のほとんどが教室に戻っていて廊下には人通りは少なく、安心して伝えるべきことを伝えることが出来そうだった。


「どうした、真奈に何かあるのか? 仲良くなっていたみたいだけど」


 私がこの舞原市にやってきて何をしようとしているのか、それを全部話すのはなかなか今の段階では難しかったけど、真奈ちゃんとの関係はこれからも続けたいと思っていた。


「そうですね、真奈ちゃんと仲良くなったついでなのですが、時々お宅訪問してもいいですか? 悪いようにはしませんので」

「それはいいけど、真奈もまた会いたいって帰ってからも言ってたから」

「ありがとうございます、それじゃあ、またお邪魔させてもらいます、それとですね、伝えるべきかどうか悩んでいたのですが、後々になってお伝えするのもまた困らせてしまうと思いまして……」

「ど、どうした? そんな真剣に」

「それは……、真奈ちゃんの将来にも関わることなので」


 樋坂君は一歩引くように何の話をされるのかと不安そうな目で私を見ている。

 さすがに突然すぎたかなと思ったが、ここまで来て伝えないわけにはいかなかった。


「真奈ちゃんには魔法使いの才があります、それに問題なのは真奈ちゃんの持っている魔力の貯蔵量が通常のものを遥かに凌駕していることで、どこかの段階で開放をして吐き出さないと、いずれ真奈ちゃん自身を危険にさらすこともありえます。一度暴走してしまうと制御はできませんから」


 樋坂君には付いていけるような話ではないと分かっていたけど、それよりいい説明も見つからなくて、噓をつきたくもなかった。

 もちろん樋坂君からのはっきりとした返事はなく、何の話かまるで付いていけていない様子だった。


「あっ、すみません、突然言われても困りますよね。やっぱり、樋坂君は気にしないでください。私、教室に戻りますね」


 私は不吉なことを言って気を悪くさせてしまっただろうと思い、逃げるように教室に戻った。


 ”樋坂くん、現実を受け止めないと、いずれ後悔しますよ”


 私は声には出さず、そう思いながら席に着いた。


 水原家で一緒に暮らせるようになってもまだ、多くの課題が残されている。私はそんなことを思い、考え事をしながら授業に臨んだ。

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