あーちゃんと星泥棒
短い物語を載せる予定です。よろしくお願いします。
漢字は多いですが、Siriの読み上げがスムーズに行くようにしました。
一等星という言葉を読んでくれなくなりました。
秋の星座で、一等星はみなみのうお座のフォーマルハウトだけなのです。
なんだか、ロマンチックですよね。
星空を見ると思い出す。
おばちゃんとお兄ちゃんと3人で天文台に行ったこと。
お盆休みには、叔母さんが、東京から遊びに来る。
ペルセウスの流れ星をつかまえに。
あーちゃんは、まだ、小さいけれど、ちゃんと天文台の先生のお話を覚えました。
秋のキラキラの輝く星は、ただひとつ。
みなみのうおのフォーマルハウト。
忘れないと約束したから。
でもね、本当は、その先生は星泥棒。
流れ星を捕まえるために天文台の先生に化けていたのです。
星泥棒には夢がありました。
あの流れ星を捕まえて幸せになろう。
でも、何度手を伸ばしても、星を捕まえることは出来ません。
諦めかけたその時に、あーちゃんの叔母さんの頭にキラキラと輝く星がとまりました。
星泥棒は捕まえました。
でも、それは蛍でした。
でも、がっかりはしませんでした。
だって、あーちゃんの叔母さんの瞳の中に、キラキラの流れ星を、幸せを見つけたからです。
星泥棒は嬉しくなりました。
そして、急いでこう言いました。
「僕に捕まってください。そして、お嫁さんになってください。」
24歳のあーちゃんのおばさんは、驚きました。
でも、少し恥ずかしそうに頷いて、二人は結婚することにしました。
おばさんを盗んでいった星泥棒をあーちゃんは、あまり、好きにはなれませんでした。
でも、外国から届くクリスマスカードの、幸せそうな、おばさんの笑顔を見ると、仕方ないな、と、許すことにしました。
あーちゃんは、愛らしい娘に成長しました。
でも、天文台は年をとり、引退をする事になりました。
もう、お星さまを見には行けません。
そして、たまに、おばさんと流れ星の事を思い出します。
でも、寂しくはありません。
隣に住んでいる少年が、あーちゃんを誘いにきたからです。
少年は言いました。
車の免許がとれたんだ。 今年の夏は、星を探しにいこう!