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じじいの本気

なんかなぁ

「元々詠唱をしてたのは魔法のイメージをしやすくしていたからなのじゃ。じゃが、最近の輩はスキルに頼ってイメージすることを忘れ、無詠唱だと何も出来んやつまで現れおったわい。何を考えとるんじゃのう?」


無詠唱の優れた点は奇襲能力の高さと次にどの魔法が来るのかを予測させないことで相手の対応を遅らせることが出来るところだった。しかし、詠唱をして高い威力で撃てば対応されることすらなくなるのでは無いか。


「心の中で詠唱してもええのだが、やはり言葉に出した方がイメージはしやすいよのう。だから声に出すんじゃ。」


俺は老人の話を聞きつつ自分の撃った氷の槍を見ながらふと思ったことを呟いた。


「じいさんの本気ってどれくらいだ?ここまでワープで来るってことはしこたまワープ重ねてきたんだろ?」


「ふぉっふぉっ!そうじゃのうそうじゃのう!重ねるということでどれほど魔法が強くなるのか見せてやるわい。何を重ねようかのぉぉぉうむむ。」


重ねる魔法を迷っているようだ。赤魔法や緑魔法だと重ねると威力もすごそうだ。俺は何を重ねるのかとても楽しみにしていた。


「ふうむ。「クラッシュ」という魔法を知っておるかね?」


「クラッシュってあのクラッシュ.......?」


俺の知ってるクラッシュは超名前負け魔法だ。大岩を砕く魔法かと思ったら、まさかの小石を割る程度の魔法だった。火打石を割るのには役に立つらしいが。

これまた無属性なので簡単に取得することが出来る。ちなみに才能ポイント30で獲得可能だ。


「そうそう名前負けくそざこ魔法のクラッシュじゃよ。クラッシュ重ねるぞい」


「いや、クラッシュ重ねても雑魚は雑魚だろ.......


「まぁ見ておれ、そうじゃのう.......名前は『大崩落』にするかの!!」


そういうと老人は手を掲げそこに魔法を重ねていくようだった。魔法陣が縦に10こ並びそれが1枚となった。それがどんどん重なっていく.......。


そして、その枚数は500枚を超えた。もう魔法陣なんて書いてるか分からないよぉってくらい重なっている。


「効率が悪いのぉぉぉ。アレ、してみるかの。」


「アレ?」


「これからやることは何百年も鍛錬を積んで出来る芸当じゃ。出来ない事を嘆かなくてもいいんじゃぞ。ほれみせてやる」


そういうと空間にそれはもう色んなところに魔法陣が現れた。その数数千枚。どこを見ても大量の魔法陣がある。その魔法陣が一気に老人の掲げる手に収束され、その魔法陣は光る球体となった。


「よしよし、離れておくのじゃぞ.......」


『大崩落』


俺は岩壁がバキバキになって崩れ落ちると、予想していた。それは甘かったようだ。極限まで重ねられたクラッシュは割れた石をさらに割っていきその欠片はついに砂となっていった。

今目の前にあるのは高い高い岩壁ではなく、幅数百メートル、奥行数百メートルの砂丘である。いくらなんでも重ねすぎじゃないか!?


「爺さん?いくら重ねたらこうなるんだ.......?」


「ざっと20000くらいクラッシュを重ねたかのぉ。ちとやりすぎたがこれが『魔王』の本気じゃよ。わかってくれたかね。」


チートだぁ.......心底チートだぁ.......


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