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黒の革命論 〜最強王軍への反乱〜  作者: ぽんぽん
学院地区 サンシャルル
2/24

第2話 トランプ大好き幼女

「む!!」と幼女は何かをジャックに突きつけた。


 随分と小さい手だ。4歳くらいだろうか。

 腕をまっすぐに伸ばして、その手に持っているのはカードの束だった。


「トランプ?」


 ジャックが目を少し丸めていると、幼女はジャックの膝の上に二枚のカードを置いた。

 ソファによじ登って、ジャックの隣に腰掛ける。


「んー」


 幼女が手札を見て唸った。


「…………」


 ――――いや待って、何のゲームなのこれ……。


 ジャックは集中状態に入っている幼女に、訊くことができなかった。


 二枚で遊ぶトランプゲーム。

 何があっただろうか。


コンコン。


 などと考えていると、個室のスライドドアがノックされた。

 再びの来客らしい。

 ジャックが返事をすると、遠慮がちにドアが開かれた。


「すいません。妹がお邪魔してませんか?」


 戸口から覗くようにして、透き通るような青色の瞳がジャックに向けられた。

 髪は隣のトランプ大好き幼女と同じ、暖かそうな亜麻色だった。


 ーーーー綺麗な子だな。

 ジャックは心の中で、口笛をそっと吹いた。


「あの、すいません……妹が……」


 彼女は言いかけて、ジャックの隣に座る幼女を見た。


「サラっ。やっと見つけた……」


 彼女は心底ホッしたように言った。

 しかしトランプ大好き幼女は、姉の心配などどこふく風、神経をカードに注いでいる。


姉らしき美少女は、「すいません。一回だけしてあげてください」と申し訳なさそうに言って、幼女の隣に楚々として腰掛けた。


 ――――別に暇だし何回でもしても良いんだけど……。


 しかし、その心の隙が仇となった。

 出発から2時間。

 景色は田園地帯から峡谷へと変わっている。


「サラっ。いい加減帰るわよっ」


 サラと呼ばれた幼女は、100戦やっても満足しなかったらしく。

 ジャックの着ている黒の外套の襟を掴んで、両足を姉に引っ張られながらも抵抗を続けていた。


 2時間の間に、姉はアイリス・シュガーズという名の公爵令嬢だということがわかった。


「サラっ!!」


「むん!!」


 離さないサラに、ジャックはお礼を言った方が良いだろう。


 まさかアイリスが折れて、公爵家のスイートルームに招待されるとは。


登場人物

ジャック・アゼルバーン

サラ・シュガーズ

アイリス・シュガーズ


次回登場人物

ジャック・アゼルバーン

サラ・シュガーズ

アイリス・シュガーズ

ローゼン・スターク

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