学校に到着
僕らは学校に向かって走っていた。
どうせ走っても歩いても遅刻は遅刻なんだろうけど。
3分くらい走ってバテてきた。はや歩きにしよう。
僕はよく外見が運動できそうって言われるんだけど全然無理な人間なんだ。
体育の成績は1だったし、先生から不思議がられてたなあ・・・。
それは僕の個性だと割り切っていたけれど、
そういう個性がたまに僕に足かせとなって襲いかかる。
今なんてまさに、うわっ!白いワンピが濡れちゃった・・・。
もういいや、学校についたらはらおう。
和美ちゃんも息遣いが荒くなっている。
じっとりとした汗が風で冷え、少し涼しい。
学校までのリレーに和美ちゃんが一歩、リードしている。
どうやら僕よりも運動は得意なのかもしれない。
そうして目の前に古い学校が現れた。
確かに文化財っぽい雰囲気を醸し出している。
木造の二階建て、
瓦屋根に木の壁。窓の枠組みも木でできている。
火災でも起きたらとんでもないことになりそうだ。
僕らを待ち受ける大きな入り口、今にも飲み込もうとしているようだった。
「ここがまだ村だった頃、そのときの村長さんが教育熱心な方で、
人口もそんなにいなかったのに学校を作ったのよ」
「いまはおかげさまでこの町の文化財になっているの」
そして、和美ちゃんは扉を開けた。
「ようこそ、私達の『学校』へ」
こうして、僕は足を踏み入れたのである。
中は静かで人の気配は感じなかった。本当にここは学校なのだろうか。
一歩、また一歩と進むごとに廊下が軋む。
和美ちゃんが『1の1』と表示されているクラスの前に立った。
僕もそれにならい、横に立つ。
「ここなの。さぁ入って入って」
僕は深い深呼吸をした。
今までとは違う、新しい僕を見せつけるんだ!