私はあなたを殺す
私はただ、疲労が溜まっていくだけだった。
空気を切っただけの牛刀は、鈍く月に反射する。
ぎりりと歯を噛み締めた。これが、最後の頼み!
拳銃を取り出し、構えた。
奇妙な感覚を覚えた。なぜカナが まだ銃を 持っている?
あの時、すべての弾を使ったはずでは・・・?
手元を見る。私は銃を持っている。
つまりこの屋上に銃が2丁存在していることになる。
う・・・そ・・・だ・・・。
カナちゃんが初めて口を開いた。
「そうよ。まあ、そういうことなの」
「そしてやっぱり・・・あなたもだったのね。エージェント」
「敵とわかったからには容赦はしない」
銃をカチャリと鳴らす。
しまった、一足遅かった・・・!安全装置を外された・・・!
突然屋上のドアが開いた。私達は銃をそっと隠した。
「もうやめて!!おねがい!!」
一人の少女が二人の間に割って入った。
そう、彼女は和美。私に殺されるはずだった人。
でも僕は殺さない。彼女は私が守る。
選ばれし者達は、一つ屋根の上、一同に集まった。
私、和美ちゃん、そしてカナちゃん。
「あなたはウチのそばにいなさい。ウチはもう、あなたを殺したりなんかしない。あなたを守りたい」カナちゃんはいつになく真剣な表情をする。
カナちゃんは腕をとって和美ちゃんを奥へ追いやった。
「私は和美ちゃんを殺さない!絶対に!!」
カナちゃんはギロリと睨みつける。
「嘘をつけ」
そう、ポツリといった。
「ウチ、知ってるの。摩耶は嘘をついたこと」
「摩耶は、あなたを殺そうとしているの」
「う、嘘でしょ? だってあなた達が喧嘩していて、なんで私が・・・?」
「それこそ嘘だ!!」
「私は、僕は和美ちゃんを殺すつもりなんて、全く無い。信じて。ねぇ、私を信じてよ」
「嘘をつけ!嘘をつけ!嘘をつけ!」
「いいや!あなたは殺すの。あなたがそうやって私にしてみせたように!」
するりとズボンのホックを外し、その下半身を露呈させた。
左足が純白で華奢な素肌と相対するメタリックシルバー。
華麗にステップを踏むその姿にそんなものを隠していたとは・・・。
人間にはありえない出で立ち。心臓がバクバクする。思わず拳銃をポトリと落としそうになった。
少女は微笑をたたえつづけていた。
「殺した。全てはあなたのせいなのよ」
カナちゃんは僕に銃口を突きつける。
「いやっ、私は指令された事をしたまでの事。私は悪くない!!」
「違うっ!」
カナちゃんはパンッと銃を私の足へと撃った。
コンクリの破片が飛び散る。
「そして最後に和美ちゃんを殺せ、と」
「でも、私には和美ちゃんを殺すことができなかった。なぜなら…なぜなら…」
「ふぅ…ん。最後は中途半端ね。馬鹿みたい。感情移入してはいけないと、そう組織に教えられなかったの?」
くそう…忍ばせてあった安全装置を外す。
「無理よ。私はあなたを殺す。あなたが和美を殺すなら、私はあなたを殺す」
クソッ・・・。見抜かれていたのか。
ならば仕方がない。こちらも構えるのみ!




