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ヒトリムシ  作者: おかずシステム
72/73

私はあなたを殺す

私はただ、疲労が溜まっていくだけだった。

空気を切っただけの牛刀は、鈍く月に反射する。

ぎりりと歯を噛み締めた。これが、最後の頼み!

拳銃を取り出し、構えた。


奇妙な感覚を覚えた。なぜカナが まだ銃を 持っている?

あの時、すべての弾を使ったはずでは・・・?

手元を見る。私は銃を持っている。

つまりこの屋上に銃が2丁存在していることになる。

う・・・そ・・・だ・・・。

カナちゃんが初めて口を開いた。

「そうよ。まあ、そういうことなの」

「そしてやっぱり・・・あなたもだったのね。エージェント」


「敵とわかったからには容赦はしない」

銃をカチャリと鳴らす。

しまった、一足遅かった・・・!安全装置を外された・・・!


突然屋上のドアが開いた。私達は銃をそっと隠した。

「もうやめて!!おねがい!!」

一人の少女が二人の間に割って入った。


そう、彼女は和美。私に殺されるはずだった人。

でも僕は殺さない。彼女は私が守る。


選ばれし者達は、一つ屋根の上、一同に集まった。

私、和美ちゃん、そしてカナちゃん。

「あなたはウチのそばにいなさい。ウチはもう、あなたを殺したりなんかしない。あなたを守りたい」カナちゃんはいつになく真剣な表情をする。

カナちゃんは腕をとって和美ちゃんを奥へ追いやった。

「私は和美ちゃんを殺さない!絶対に!!」

カナちゃんはギロリと睨みつける。


「嘘をつけ」

そう、ポツリといった。

「ウチ、知ってるの。摩耶は嘘をついたこと」

「摩耶は、あなたを殺そうとしているの」


「う、嘘でしょ? だってあなた達が喧嘩していて、なんで私が・・・?」

「それこそ嘘だ!!」

「私は、僕は和美ちゃんを殺すつもりなんて、全く無い。信じて。ねぇ、私を信じてよ」


「嘘をつけ!嘘をつけ!嘘をつけ!」

「いいや!あなたは殺すの。あなたがそうやって私にしてみせたように!」


するりとズボンのホックを外し、その下半身を露呈させた。

左足が純白で華奢な素肌と相対するメタリックシルバー。

華麗にステップを踏むその姿にそんなものを隠していたとは・・・。


人間にはありえない出で立ち。心臓がバクバクする。思わず拳銃をポトリと落としそうになった。

少女は微笑をたたえつづけていた。


「殺した。全てはあなたのせいなのよ」

カナちゃんは僕に銃口を突きつける。


「いやっ、私は指令された事をしたまでの事。私は悪くない!!」

「違うっ!」

カナちゃんはパンッと銃を私の足へと撃った。

コンクリの破片が飛び散る。

「そして最後に和美ちゃんを殺せ、と」

「でも、私には和美ちゃんを殺すことができなかった。なぜなら…なぜなら…」

「ふぅ…ん。最後は中途半端ね。馬鹿みたい。感情移入してはいけないと、そう組織に教えられなかったの?」


くそう…忍ばせてあった安全装置を外す。

「無理よ。私はあなたを殺す。あなたが和美を殺すなら、私はあなたを殺す」


クソッ・・・。見抜かれていたのか。

ならば仕方がない。こちらも構えるのみ!

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