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仕方ない
最終電車で南部さんの家に戻る。隣の地区とは離れているだけあって、やはり火事騒ぎも誰一人知らなさそうだ。
みんなが部屋に残っていたことにただただ安心した。
「おかえり!」和美ちゃんは笑顔で深夜にもかかわらず迎えてくれた。
毛布にくるまった姿が可愛らしかった。
「ただいま」
ただ彼女がいてくれるだけで嬉しかった。
「それで、かなゑ家の人たちはどうなるの?」
コーヒーをすする。
「たぶん家に帰れないだろうね」
「カナちゃんは・・・」
「カナはどこかに行ったと思う。家族とはずれちゃったんじゃないかな。僕らを追いにどこかに隠れているとか」
彼女は悲しい顔をした。
仕方ない。これは彼女が犯した罪なのだから。
仕方がないんだ。
「おはようございます。今日、和美ちゃんと一緒に村に戻ろうと思います。博士も一緒に行きたそうだったけれど、この村のことは、僕ら村人が解決したいと思います。だから、置き手紙のような形になってしまったのはごめんなさい、でも、このような形でないと止められてしまうからです」
南部は手紙を置き、たばこに火をつけ、吸った。
「彼女たちなら、まあ何とかなるかな」
ドアのベルが鳴る。摩耶ちゃんが忘れ物か?置手紙しておいてそれはダサいぞ。
「こんにちは。下水局です」
「ああ、はい」
”それ”に応えたのが南部の最期の言葉であった。




