おきてを破ったカタのつけかた
「もしもし。あの時にお世話になりました宮部です。村長さんはいらっしゃいますか」
「居ります」
「お久しぶり。現在の身辺は聞かせてもらった」
村長はあの時から目の奥の光が失っていたままだった。
「はい。そういうことです。そのため、少しでも良いのでかなゑ家について教えて頂きたいんですが」
「今日の夜に会議を開く予定だったからちょうどよかったわ。
君の事と、かなゑ家が今回の議題だったからな」
「かなゑ家が、ですか?」
「ああ。かなゑ家が娘を殺した可能性が出てきたんだ」
「そう、ですか」
僕を消そうとしたかなゑ家。そんなことをしでかすのも頷ける。
「そこで、かなゑ家に復讐をしに行く」
「彼女たちにも”ヤマガエリ”を行ってもらう」
物腰は静かだが、話し出すとその死んだ目に炎が宿り始めているような気がした。
「僕は構いません」
かなゑ家に対する感情などなかった。
この事件を解決するためには、それは必要だとうすうす感じていたからだ。
「これで事件が解決するのなら」
「多分、これで解決はするだろう」
「今日、行うつもりだ。その他の人たちもあとからきてくれればよい」
僕は、夕方、疲れて寝ていた皆を置いて、山のトンネルを抜けて社木にやってきた。社木はすべて同じいつもの表情をたたえていた。
いつもと同じ表情というものが、今日ばかりは恐ろしく思った。
駅を出ると、黒塗りの高級車が路肩に止まっていた。
奥には村長さんの顔が見えた。車のドアをノックし、鍵を開けてもらう。
ドアを開けて車の中に入った。
「今夜、かなゑ家に制裁を加える。もちろんそれは殺した理由でもあり、往年のうらみでもある」と村長は言った。
「わかりました。」
灯油がばらまかれる。ここの地区では灯油タンクが常備されている家が多い。皆それを「かなゑ家への復讐のために」持ち寄ってきていた。
かなゑ家に火がつけられた。
消防車は今日はこの地区には「存在していない」。
誰も中から人が出てこない。
今日はかなゑ家が、地区の外で活動している日だからだ。
我々には全てわかっている、そしてかなゑ家もわかっているだろう。
これが、「社木のおきてを破ったカタのつけ方」だと。




