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ヒトリムシ  作者: おかずシステム
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手紙

先生、お元気でしょうか。僕がこの社木地区に越してから一か月がもうすぐ経とうとしています。

友達もできました。初めての友達です。

最初は心配して、地区の人々に戸惑っていましたが、次第にこの地区の雰囲気にもなじんできたみたいです。

やはり僕は病院みたいな静かな場所が適しているみたいです。

いっそのこと墓場にでも引っ越そうかなと思ってみたりします。

もちろんジョークです、ジョーク。

学校にもいき始めました。中学校に行ったことが無い僕にとって初めての制服、

初めての学校生活、初めての連続にドキドキワクワクしている毎日です。

とにかく、今までとは打って変わったこの生活も楽しいものです。では。 

P.S. 山に囲まれているせいかラジオの電波の入りが悪いので、解決方法を教えて頂けると嬉しいです!

宮部麻耶


ふぅ、と一息ついてペンを置いた。

「こんなもんかな」

僕は病院送りという名目で組織から追い出された。

お父さんはまだ残っているみたい。


僕は病院で先生と出会った。先生は優しくていい人だ。

だけど僕の本心はいまだ分かってくれてないみたいだけど。

最初は嫌だったけど、先生と交換日記をつけることになった。


どうせ病院暮らしだったし、特にやることもなかったので、最初は一行だけ、事務的に書いてわたした。

先生はそれを喜んでみてくれた。驚いた。

だんだん、二行、三行と増えていった。院長室に行くことが苦にならなくなった。むしろ交換日記が待ち遠しくなった。

先生の喜んだ顔が見たかったから、僕は物語を書いてみた。


王子様が出てくる物語、文章もつたなくて小学六年生にしてはちょっと幼児的な童話チックかなと思ったけれど、

先生は最初から最後までしっかり読んで、下手な挿絵もきちんと見てくれた。僕の期待以上にとても喜んでくれた。

そうか。今やっと僕は気が付いた。先生は僕の日記じゃなくて、僕が先生に気持ちを伝えることができたから喜んでくれたんだ。


今も毎日こうやって先生に向けて日記を書いている。

交換ではなくなってしまったが、これを書いて寝ないとなんだか寝た気になれない。

そして今日も渡すあてのない手紙をかばんにしまって、布団にもぐった。

次の日、いつもの美味しい朝食を食べつつ、和美ちゃんは駅の路線を確認していた。

無事お祭りが成功したということでお父さんからおこづかいをもらったので、それを使って隣の地区で物品を買いに行くそうだ。

ここの地区は山が障壁となって、隣の地区に行こうとしたら電車が必要になってくるのだ。

僕も初めての隣の地区なので、楽しみだな。

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