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火取虫
学校が燃えている。
ぱちぱちと音を上げて、黒い煙を吐き出しながら。
夜に外に出たら、こんなことになっていた。
僕らがいたあの環境すら、終わってしまった。
消防車も来たが、もう燃えてなくなってしまうこの建物や、書籍や、僕らが作ったパペットマペットに対して対処できないだろう。
カナちゃんも来ていた。いや、村のみんながこの燃えて朽ち果てる学校の様を見ていた。
「あの火取虫は、この学校に導かれて死んでいくのね」
指をさした先には、虫が飛んでいた。
火の回りに飛んでいる虫、のことを火取虫という。
火取虫という単語が、なぜか僕の頭の中に強くこびりついた。




