救世主
カコーン。狭い浴槽に2人も入ると余計に狭く感じられる。裸の付き合いがしたいそうだ。
湯気がもくもくと浴槽内に広がりやっと目と鼻の先にいる和美ちゃんの影が分かるくらいだった。
足と足が絡み合う。すべすべの足が僕に密着した。この湯気が無くなったら、
ずいぶんとエロチックな体形になっていることが、まるわかりになってしまうだろう。
余計にお風呂が熱くなった気がした。
「ねぇ。麻耶ちゃん」
「ん?どうしたの?狭いから僕が先にお風呂から出ようか?」
「ううん。まだここにいてちょうだい。私が聞きたかったのは、それじゃないの」
「何が聞きたいの?」
「なんでこんなところに来たのかなって、ちょっと思ったの」
「どうしてだろう。僕にもわかんない。ただ、色んな所に移り住んできたから、
もう新しいところには慣れてるんだ」
「私にも、慣れてくれた?」
「もちろん!」
「よかった。私を守ってくれるのはもう麻耶ちゃんだけだもの」
その言葉には引っかかりがあった。
「あれ?お父さん、お母さんは?」
「私に対しての反応がどんどん変わっている気がするの。何とも言えない、でも何かが変わってるわ」
「もう、私には両親も頼れなくなってきたのよ。だから、麻耶ちゃんだけ」
「麻耶ちゃん、あなたは私の救世主、メシアだわ」
和美ちゃんがどんな表情をしたのかは分からない。
ただ、思っていた以上に事態は深刻になっているのかもしれない。
のぼせた頭でそんな思いを募らせていた。




