通夜にて
夕方、深く暮れてきたころ、社木地区の榎本家で通夜が開かれた。
榎本家は地主であったことから大きな家を構えているが、
それでも足りないくらいに人がごった返していた。
それだけ人が集まった理由、もちろん榎本橙子、地区の自治会長の娘が亡くなったためだ。
住民のほぼ全員が参列したのだ。
榎本家と関係が悪かった、かなゑ家も帳簿を記入し、深い哀悼の意をささげた。
通夜の後、社木地区の榎本邸にて極秘の会合が開かれた。
呼ばれた住民は、古くから懇意にしており、榎本家と仲の良かった人々だった。
これが一住民が録音した一部始終である。
「村長、で、話ってなんだ」
「私の娘が殺された、のは知っているな?」
「ああ、もちろん。最近ここの村が物騒になってておちおち外にも出られんわ」
「まさか、またかなゑん所っていうことかい?」
「たしかに、かなゑ家は娘がこっちの学校に転校してきたらしいじゃないかい」
「任務のために来たとか転校初日に言ってたと孫から聞いたぞ。これは確かに怪しい!!!奴ら、我々をこれ以上苦しめて何をするってんだ」
ざわめきだした所を、手をたたいて静止させる村長。
「いや、今回はかなゑの仕業ではない、と思いたい」
「ワシは、ササゲミが怪しいと思う。ササゲミには元来秘密とされている巻物が存在する。
その中にササゲミの本来の伝承が存在している。それはササゲミを行うもののみにしか開かれない」
「本来の伝承・・・?」
ザワザワとどよめく群衆。
「俺生まれて初めて知ったぞ」
「ササゲミはあの伝承だけじゃないのか」
「ああ、そうだ。これは代々時守家の倉で維持管理されてきた」
「だから必然的にササゲミを行う者のみ、ヤマガエリを起こすようになっている。
橙子にはそれを伝えんでササゲミを行わせたんだが、まさか読んでしまうとは」
「これも必然的なものなのかのう。ササゲミを行うものは、山に還らなければならない。娘は、ササゲミを行ってしまったからのう」
「次のササゲミは、どうするんだ。引っ越してきた娘さんにやらせるらしいじゃないか。また橙子さんのようになるのか?」
「これ以上被害者を出したらシャレにならん。死なないササゲミ役もいただろうに。なぜ最近になって死ぬようになってしまっているんだ?村長さん」
「これ以上村が物騒になるのだけはもう嫌なんだよ。村長」
「そうやっていちいち騒ぐのはやめい。今後の祭りについて神主と話し合っているところじゃ」
「とにかく!この村は、またヤマガエリがあるかもしれん。しかし下手なことをせん限り死なんだろう」
「そ、そうかい?」
「うむ。とりあえずはいつものように過ごすことじゃ。そして戸締りをしっかりしなさいな」
「おう」
ここでテープは切れている。
だが、このテープが匿名で送られた後、第二の行方不明事件がこの地区で起きてしまう。




