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ヒトリムシ  作者: おかずシステム
38/73

「殺される」

キーンコーンカーンコーン。


お昼ご飯のベルが鳴る。12時になっていた。


毎日このベルがテンションを上げてくれる存在だったけど、昨日の今日だと、ぜんぜんだ。


おなかもすいてないし。


いそいそと机をくっつけてみたのはいいけれど、なかなか開く気になれない。


和美ちゃんは、劇を終えてからも弁当を作ってきてくれている。


なんで?と聞いたら、「いつも昨晩の残りをお弁当に詰めているだけだからねー」


と、にこやかに返すけど、確実にそれはない。


今日も、昨晩の残りとは思えないハンバーグが僕へのお弁当の中にドドンと入っている。


カナちゃんも食べたそうにそれを見ている。


カナちゃんのお弁当にももちろんハンバーグ入ってはいるけれど、それとは違った温かみを発していた。


しょうがないなぁ、と先輩風をふかせながら、カナちゃんにお弁当を渡した。


それでもかなゑ家のお弁当事情はすごそうだ。


我先にとカナちゃんは手を合わせ、ハンバーグにかぶりついた。


むふふ、と頬を撫でる人は初めて見た。


「おいしすぎて、ハンバーグに殺されそうです」


カナちゃん、ブラックジョークが過ぎるよ!


ん?


「カナちゃん、もう一度、もう一度その言葉をお願い」


「おいしすぎて、ハンバーグに、殺されそう」


頭の中に電気が走った気がした。


そうだ。何か彼女は口にしていた。


「そう。あの時、橙子さんは何か口にしていた。今やっとわかった」


「でも、遅かった!遅かったんだ!」


勢いで机をたたいてしまうが、そんなことで自分自身への怒りなど収まるはずもない。



「殺される、彼女はそう言っていた」


「でもなぜ事前に殺される、そんなことを分かっていた」




「お昼の教室でそんな大声出しちゃだめだよ・・・」


「真相を僕たちの手でつかみ取らなきゃ!」



急いで人は道に出た。


「摩耶ちゃん。橙子さんは殺されるのを知ってたって?」


「うん」


「だったら、そんな小さくつぶやくだけじゃなくて、他にも助けを求めたってことはない?」


「うん。確かに。そう」


「他に助けを求めるのなら、一番身近な村長さんに何か伝えたはずですわ」


「村長さんは、橙子さんが殺されたときササゲミの何を知ってしまったんだ、って言ってたね」


「ササゲミで殺された?」


「ササゲミは殺すものではないですわ。ただのお祭りですもの」


「でも、伝承によれば消えてしまうとか・・・」



「和美ちゃん。それは伝承だよ。史実じゃない」


「・・・」


「カナちゃん、何か考えているの?」


カナちゃんは少し深呼吸して、少し微笑みながら、注意するような口調で僕たちに言った。


「こんなところで油を売っててはいけませんわ。

帰りましょ。今日は楽しい思い出として日を過ごさなければ。最近嫌なことが多いですから」


「また、私の方でも資料を集めたりしますから」


「ありがとう。カナちゃん」


葬式にはいかなかったけれど、橙子さんのお通夜はもう始まっているんだろうかな。


早く彼女が安心して成仏できるように、犯人を見つけ出さなきゃ。


絶対に祟りなんて存在しない。


あってはならない。

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