ビデオゲーム
カラスが鳴き、僕は家に帰ると「アレ」を取り出した。
そう、「アレ」だ。
買い出しの時にお金を引き下ろしたついでにテレビゲームをこっそり買ったのだ。
大きいてらてらと光る段ボール箱を開けると、そこには新しいゲーム機が!!!
ガッツポーズをする僕。うっしっし。
「新しい色、新鮮なグラフィック!動く動く!!16ビットのCPUで、今一番のゲーム界の猛者!」
「S・F・Cスペシャルファンタジックコントローラー、か」
「まず電源をつける際には、周囲のケーブルに気をつけてください」
「AボタンとBボタンを両方おしながら、電源ボタンを2秒、押し続けてください」
「押したら起動画面が映りますので、しばらくお待ちください」
今までにない斬新な動作説明だ。
僕はとりあえず説明書の通りにやってみた。
まずは、周囲のケーブルに気をつける。
といっても、ケーブルは三色端子とACケーブルしかないぞ・・・?
気をつけることはないと思うけど。そして、AボタンとBボタン。
群青色とワインレッドという絶妙な配色具合だ。
同時押し、と。
バネのせいなのか、ボタンが硬い・・・。
まあこれも慣れれば余裕になってくるだろう。
電源ボタンをぽちっとな!
1、2ぃ!
うおっ!!なんだこの起動画面は!
鮮血が滴り落ちる表現・・・。
非常にホラーだ・・・。
確かにこれはグラフィックがすごいかもしれない。
でもこんなところに力を注いで欲しくはない。怖いのは苦手なんだ。
付属のカセットを直方体ハードの前面真ん中、入れにくいところに穴をつけるものだ
そんなところに入れるらしい。利用者目線で考えているのだろうか。
見るからに某ソフトのカセットだ。
挿入部分だけ少し凹みがあり、フーフーするやつだ。
いいだろう。ファ○コンの形をしたソフトから表現される神グラフィックを見せてもらおうじゃないか!
挿入!リセット!少し怖い!準備万端!
『のりゆきくんのお散歩ゲーム その2』
うん!?
どでかい題名でこれか!?
ビットだよなこれ。絶対これビットだ!何が猛者だよ!詐欺だよコレ!
そんな僕の混乱なんかつゆ知らず、オープニングと思わしきものがこうこうと照らし出される。
そうか。僕はこういうゲームが好きだと思われてたのか。
RPGゲームが好きということは言ってなかったからな。
こっちのソフト側の問題かもしれない。
手紙でも飛ばして違うソフトを買ってもらおう。
初めてのソフトがコレというのも何かの縁だ。
そう思って僕はSTARTボタンを押した。
なんだったんだ。中身もないし操作性も悪いし、こんなものを送りつけてもなんの足しにもなんないよ!!
もうこのゲームはお倉入りだな。2度と使うこともないだろう。
電源ケーブルを勢い良く引っこ抜き、押入れに突っ込んだ。
しかし、このゲームは後にあの怪物的ゲームソフト
「窓際族サラリーマンの異世界転生RPG」を生み出すことになるのだが、
それはまたあとの7年後。




