テーマを決めよう!
翌日の放課後、また三人で集まった。
「さあ、自分の役割は決めたかね!」
開口一番、和美ちゃんが鼻息荒く僕ら二人に質問してきた。
「いんやさっぱり」
「じゃあカナちゃんがキャラクターの原案の絵を描いてくれる?」
「なら、僕は脚本を書くよ」
「わかった!お願い!」
やる気に満ち満ちている和美ちゃんを抑えることなんてできそうにない。
そもそもパペットマペットで全国に上り詰められる道があるとは思えないけれど・・・。
とはいっても、どんな内容の脚本にしようかな。
広くここ社木地区の宣伝になる方法、といったら地方の昔話?
くそう、あいにくだけど僕はここの地区についてなんにも知らない。
となると何か地元の本とかあればいいんだけどなぁ。
この学校で一番地味な場所と言っていい図書館。
今日初めて知った図書館に行ってみるか。
2階の隅、職員室の向かいの隣にカーテンがかけられていた。
なんだろうと思っていたけど、その扉に図書室という看板がついていたので、ここだと確信した。
中は半ばもの置きのような扱いになっているようで、
ごちゃごちゃとしていて、これが図書館なのかと驚く。
使い古したページがボロボロの教科書、表紙が破れている参考書、名前も読めたもんじゃない辞書、
はたまた、昔のえっちい雑誌まで!なんでこんなものが机にばらまかれいている状態になっているんだ・・・。
本の波をのけて、足を進めていく。
やっとたどり着けられた。
本棚が壁に2つ寄りかかっているのみ、これだけで地方伝承の本なんて見つけることはできるのだろうか。
社木地区は昔は社木村だったっていうし、「や」行のあたりを探そう。
や・・・、や・・・、あれ。本がない。
「社木村の地理」「社木村の歴史」この題名の間に最近出来たらしい隙間があった。
貸出用カードが入り口の近くにあったと思う。
まさかこんな本を僕以外の誰かが借りて読んでいるなんて思ってもみなかった。
7/3:「社木村の伝承」/ 貸出:川達 壮
川達?なんで担任の先生が?
詳細を知るために職員室に行ってみよう。
まだ夕方だし、先生は仕事をしているだろう。
夕日が穏やかに照りつける頃、職員室の前に僕は立っていた。
急に雷を含んだ雨が降ってきた。夕立だ。轟々という雷の音、
地球温暖化もここに極まれり、か。
窓を開けっぱなしにしていたので、窓を閉める。
窓の外に人影がいた。
傘もささないとは、まあ、忘れたんだろう。
しかし、なら何故雨宿りをしないんだ?
実に不思議だ。
目を離してまた見ようとすると、あれ、もう人影はいない。
目を離した隙に消えてしまったようだ。
幻覚なんだろうか。
最近幻覚をよく見る。そのたびに頭痛や吐き気が起きる。
標高が高い社木村だから起きるのだろうか。
新しい環境に慣れていないからそれに対する緊張か?
そこまで休むほどでもないからいいんだけれど。




