二人目の転校生
「て、転校生が二人目!?」
僕が転校してきて3週間目がたった、そんな時だった。
帰りの準備をしているときにそんなことを伝えるとは。
「うん。かなゑかなちゃんっていうの。小学生みたい。どうせなら男の子だったらよかったのになぁ」
「小学生の男の子とちょっと酸っぱい甘い恋でもするんですか?」
「からかわないでよー!そんなことじゃなくて、男の子だったらまた新しい見識がつかめるかなーなんて」
「僕からは見識がつかめなかったというわけなのか、え?」
「いやいや、麻耶ちゃんからもたくさんのことを知ったよ」
「たとえば?」
「遅刻なのにバレずに出席する方法とか、授業中に先生に気づかれずに爆睡する方法とか!」
僕はそんなことを教えた覚えはないんだけどなあ。たしかに否定はできないんだけどさ。
僕はそして、彼女と出会ってしまった。
当日。
和美ちゃんとその少女は一緒にクラスへと入っていった。
教室中でざわめきが巻き起こる。
その突然の来訪人は髪は左右対称で長い髪が結ってあり、その髪が肩にかかっていた。
上はシャツ、下はチェックのスカートと至って普通、少し上品なオーラも漂わせている。
なぜ、驚いているのかというと、その彼女は「車いす」にのって、そこの教壇にいるのだ。
同年代で車いすで少女という時点で小学生たちは驚きを隠せないでいるのだ。
それもそうだ。僕ももちろん驚いている。
しかし、その情景にも物怖じせず、真顔でじっと事が収まるのを待っていた。
「さて、自己紹介をおねがいします」
少女はくるりと黒板に向かい、チョークで達筆な名前を書いた。
「私は、かなゑかなと言います 小学5年生です」
「私はある特別な任務をするために、ここに来ました」
「その任務を終えるまで、ここの学校にいさせてもらいます」
「その間だけでも、友達になってください」
「よろしくおねがいします」
書き終わると、業務的にペコリとお辞儀をした。
みんなが頭の上に「はてなのマーク」を浮かべているだろう。
任務?この少女は何をいっているのだろうか。
しかし少女はそれからは何も言わなかった。
何事もないようにまた同じく、いつものホームルームが始まった。
今日は国語を中心にやろう。
最近は教科別にプリントが山積みにされていて、それを処理するシステムになっていた。
先生も二人も中学生がいると負担が大きくなると察知したのだろう。
「和美ちゃんすごいね!漢字が満点なんて!」
「へへーん。これでも漢字ドリルはやっておいたんだ!」
窓際で一人、気になっているその少女はたたずんでいた。
その少女は笑わなかった。遠くでどこかを見ている、いや、見ていないのかもしれない。
和美ちゃんは僕に耳打ちした。
「両親がお金持ちらしいっていう噂があるんだけど、本当のところはよくわかんない。
ずっとさっきからあんなふうに窓からたたずんでいて、話しかけようとすると逃げちゃうの」
「逃げちゃうのか・・・」
よし、この際一緒に友達になってみせよう。
「よし、待ってて」
待っててと言ってしまったが大丈夫かなぁ・・・。
少女のいる窓際に向かう。
ポンポンと肩を叩く。
気づいてくれたようで振り返った。
そのチャンスを僕は逃さない!!
「こんにちは!僕は宮部摩耶。君とお友達になりたいんだ!よろしくね!」
少女はコクリとうなづいた。これは成功の証なのか?和美ちゃんの方を振り返る。
和美ちゃんは「グッジョブ」の手の形をしていた!
どうやら僕は成功した!友達二人目だ!
「よろしくね!!!」
ぶんぶんと握手をした。
突然の来客に戸惑ったのだろう。
だが負けまい!!少女よ!強くなって僕を追い越すのだ!!
「それにしてもなんで麻耶ちゃんだったらオーケーしてくれたんだろう」
「それは僕の美貌のおかげだよ」
「流石にそれはない」
なんだいなんだい。
そうですよ。どうせ僕は十人並ですよ。




