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ヒトリムシ  作者: おかずシステム
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謝罪

昨日は和美ちゃんに何て弁明しようかと頭をめぐらせていて、眠ることができなかった。


結論が割腹自殺になりかけた時にはもう寝ていたのかもしれない。


ボーッとしつつ学校までの道を辿る。


道を楽に覚えられる才能は両親に感謝しないといけないな。


1-1のドアを開く。変わらない。掟通り、か。


和美ちゃんは窓辺で一人、メガネをかけて数学の本と睨みあいを続けていた。


今日は上下制服だ。うーむさすがは清楚の権化。


同じ女子の僕は上下ジャージというセンスの欠片もない格好。


だって服がなかったんだもん!しょうがないよね!


お勉強モードなのかな。正直に謝りに行こう。


「あ、あのう、森さんでいらっしゃいますでしょうか」


無視・・・。


「森さんはそんなお方だったなんて知りませんでしたよー。ねえ皆さん」


またもや無視・・・。


「あーもうまた無視ですか。僕は透明人間なんでしょうかねぇー?」


 その仕打ちはないよ!もう!


「透明人間なんだし、何してもいいんでしょうかねー」


「ほらっ!これならどうだ!」


スカートをちゃぶ台返しのようにばさっとめくる!



白のパンツが露呈する。こんなところまで清楚だったとは・・・。


和美ちゃんの頬はカッと赤くなった。


ぷるぷると数学の教科書を丸める。僕は何が起きるのかはわかった。


ただ、和美ちゃんはさすがにそんな事するはずないだろうという甘えが少し心の中にあった。


ぽこーん。へ?


ぽこーん。ひゃ?


ぽこーん。ほ?


ぽこーん。ひぇ?


ぽこーん。ぽこーん。ぽこーん。


泣きそうな顔でぽこぽこと僕にまるめた数学の教科書を叩きつけてきたのだ!


「痛い!痛いよ!和美ちゃん!」


「昨日の夜のこと謝ってくれるのかなって思ったのに!ひどいよ摩耶ちゃん!」


「そりゃあ無視したもん!無視するのはひどいよ!」


「だからって!だからって!」


ぽこぽこぽこ・・・。


まぁしょうがないのかな・・・でもしょうがなくないよね・・・



チャイムのベルがなる。


結局一言もそれから会話ができなかった。


そういえば弁当持ってきてないや・・・まあ日くらいいっかな。


手持ち無沙汰で天井を見上げる。一人だけか。


いや、一人なのは僕だけじゃなく、和美ちゃんもか。


和美ちゃんの方をみる。


和美ちゃんは何やら大きなタッパーを二個持ってきているようだ。


二個というのも中身が大きすぎるから分けるために?


ん!?なんだあれ!鍋を持ってきてるのか?


アルミ鍋を持ってきて、何をしようとしているんだろう。


昨日の鍋と形状が一緒だ。まさか!


「か、和美ちゃん・・・。それ」


ん?と振り向く。とっさに険しい顔をし、ぷいと顔をそむけた。


でも僕はお構いなしに机をくっつけた。



「いや、それって昨日のお鍋のやつだよね・・・。なんで?」


「だって、昨日食べてくれなかったじゃない」


「まぁ、あの件でね、ちょっと考え事してたら」


「言い訳はいいよ。それで、弁当持ってくるの忘れたんです。と」


「う、うん。ごめんなさい」


「どうせそんなことだろうと思った。はい、割り箸」


鍋蓋をかぱっと開ける。よく染みた大根のおでんが3個、4個入っていた。


つゆの湯気が鼻を撫でる。


鼻腔に入ってきただしの香りはお腹まで届き、やさしく、しかし強烈に腹を刺激した。


「ぐうううぅ」とお腹がなった。


「ごめん!」と一謝りして大根にかぶりついた!!


清らかな二日目スープが口腔内に広がって・・・おい、しい。


「そんなにがっつかれたら、私食べる分なくなっちゃうよぉ」


和美ちゃんが苦笑した。んもーという拒否反応がまた可愛らしい。


結局一口も上げることなく、おでん鍋をすべてたいらげてしまった。


「お腹ポンポンだよお・・・ふぅ」


「ふふ」


和美ちゃんは笑った。そう、元に戻ったのだ。


仲睦まじい僕達。そんな僕たちを引き裂く存在なんて、絶対に存在してはならないんだ。

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