1/73
まえがき
前書き
「ひとりむしいかなる明日の来るならむ」という句があります。
どこかで、名前も知らない古い本を立ち読みしたら、この句が出てきました。
火取虫、夏の火に集まって、やがて死んでいく虫たち・・・。
明日はもう、決まり切ってしまった虫たち。
私も、どうやらその仲間入りをしてしまったようです。
どうしてだろう。最初から「それ」は仕組まれていたのでしょうか?
生まれた時から、その「炎」に行くことは仕組まれていたんでしょうか。
先生、教えてください。
私はいったいどのような明日を迎えてしまうんでしょうか。
この作品は、フィクションであり、実際の人物、地名、組織名、数々の名称には一切関連性はございません
「宮部摩耶 1990年」