パーティー(4)
ちょうどこのお話で1万文字突破です!
今後ともこの作品をよろしくお願いします。
「…………お兄ちゃん、大丈夫?」
「………………おう、なんとか」
優真は悶えていた。
「……本当に?」
追撃やめてください、と優真は思った。
「じゃあその言葉を信じてもうひとつ。私とパーティーを組んでくれない? あ、パーティーとかの説明がいるわよね。お兄ちゃんは異世界人なんだから」
「…………なんか急に親しくない?」
「その方が兄妹っぽいと思わない?」
優真は納得した。
ちなみにリンのパーティーについての説明を纏めると、
・パーティーは最大6人で組むことができる。
・パーティーを組むときは、全員で輪を描くように立って、誰かひとりが「パーティー結成」、他のメンバーが「パーティー」ということで成立する。このとき、パーティー結成と言った人がパーティーリーダーになる。パーティーから抜けるときは「パーティー脱退」と言えば良い。パーティーリーダーは「除名、○○」ということで自由に除名できる。
・パーティーメンバーは、各ギルドの魔道具「パーティー板」で確認できる。また、パーティー板からであれば誰でもパーティーから除名できる。
・パーティーを組むと、パーティースキルを適用できる。
「といった感じね。商人と見習い商人のパーティースキル『視線会話』は急に内容をあわせないといけないときなんかに有効なはずよ」
「じゃあ組んでおくか。初めてだから、パーティーリーダーは任せてもいいか?」
「もちろん。じゃあこっちを向いて」
優真はリンと向かいあった。そしてリンは、言った。
「じゃあ、行くよ」
優真は頷いた。
「「パーティー」結成」
優真は、特になにかが起きた気がしなかった。
「これ、きちんと組めてるのか?」
「そのはずよ。なんか、ちょっと不安になるわよね」
リンは苦笑を浮かべながら、そう言った。
「それじゃあ、確認しましょう。お兄ちゃん、私の目をしばらく見て」
優真はいわれた通り、リンの目をみつめた。琥珀色の瞳と、心地よい日差しを受けて煌めく、肩に届くかどうかくらいの長さの、後ろの方が少し纏められた銀髪。質素に纏められたその容姿。それを見て優真は、ふと
(『リン』ってなんかかわいいよな)
と思った。すると、リンの口が突然パクパクしだし、頬が赤くなっていく。そして、
「にゃにを考えてるんですかユーマさん!?」
噛んだ。
『…………こんな風、視線をあわせた状態で、相手のことを考えながら考えたことを伝えるのが「視線会話」です』
優真の頭の中に、リンの声が響いた。
そしてここで、優真は察した。さっき優真が考えたことが、リンに伝わってしまっていたのだということを。そして優真は
(元の世界でもこういうかわいい妹がほしかった)
と、ふと考えてしまった。
「……ユーマさん、まだそんなことを考えるんですか」
リンはふて腐れたように言いながら視線を逸らした。
そしてそこで、優真は気づいた。
「あれ? リンの口調が戻ってる?」
リンの優真の呼び方がお兄ちゃんからユーマに、親しげな感じから他人行儀に戻っていた。
「…………しばらくの間、ユーマさんのことをお兄ちゃんって呼んであげません」
リンはユーマに背を向けて、不機嫌そうに、そう言った。
リンの妹属性を手前に出したかっただけの回。
ちなみにリンの容姿の参考にしたキャラは、「ア○トラ○アの○き永遠」という作品の「○ りん○」というキャラです。正式名称は私のTwitterで呟いておきます。