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魔法調合Lv.1

「えっと、これはどういう…………」

「『メニュー』の効果だよな……」

リンが元に戻ってから、ふたりはこの『魔法錬金術師』というものがどんなものなのかを考えていた。

「魔法錬金術師とか初耳なんですが、ユーマさんはご存じですか?」

「さあ? あ、でもちょっと待って」

優真は魔法錬金術師のヘルプを開いた。


魔法錬金術師

魔法的手段を用いて錬金術や調合を行使することができ、また魔法の使用・探究ができ、さらに事象の探究もできる。『錬金術師[?]』と『魔法使い[?]』と『研究者[?]』の上位互換の職業で、その能力は生産から攻撃、支援に至るまで幅広い。


「「…………」」

ふたりは、揃って硬直していた。

「なんか、凄いの来たんだけど……」

「こんな能力を持ってたなんて、私自身驚きです」

3つもの職業の上位互換、それが『魔法錬金術師』だった。

「とりあえず、下位互換の職業の詳細も見せてもらっていいですか?」

「あ、ああ……」

優真は、『錬金術師』・『魔法使い』・『研究者』のヘルプを開いた。


錬金術師

機材上で物質を混ぜあわせることで、新たな物質を生み出すことができる。『調合士[?]』の上位互換であり、生産に特化している。調合士と異なる点は、作成後の物質を自在に整形できることである。


魔法使い

魔法を行使・創作することができる。『魔術師[?]』の上位互換で、その性質は魔法を行使・創造することに特化している。


研究者

真理を論理的に追い求める者。『探究者』の上位互換で、その能力は真理を追い求め、創造の根底を生み出すことに特化している。


「…………下位互換が上位互換の職業ということは」

「間違いなく凄い職業です。…………もっと早く知りたかったような、今知れたことが嬉しいような……」

ふたりは、苦笑いを浮かべることしかできなかった。

「……とりあえず、次の休憩で魔法調合を試してみます」



ちょうど休憩の時間になって、リンは『魔法調合』を使用してみることにした。

「ユーマさん、魔法調合の使い方ってわかりますか?」

「ちょっと待ってろ」

優真は、魔法調合Lv.1のヘルプを開いた。


魔法調合Lv.1

『調合Lv.5[?]』と同等の調合を「魔法調合」と意識しながら発することでできる。器具は必要ない。むしろ邪魔。器具なんて必要なかった。


「……」

優真は頭を抱えたい気分になりながら、調合Lv.5のヘルプを開いた。


調合Lv.5

ほとんどの薬を作ることができる。材料は、それっぽいものがあればよい。


「……それっぽい材料を集めて、『魔法調合』と意識しながら言えば良いらしい」

「えっと、器具は?」

「原文のまま伝えるな。器具は必要ない。むしろ邪魔。器具なんて必要なかった」

「……うちの父はじめ、世の中の調合士が可哀想に思えてきました」

魔法調合は、調合士が可哀想になるほど、準備が雑なスキルだった。

「とりあえず、そこら辺に生えてた薬草みたいに見える草を採ってきました。では、いきますね――――『魔法調合』」

リンがそう言った瞬間、薬草みたいな草の周りに魔法陣(優真とリンははじめて見たので断定できてはいない)が展開した。

「これは、魔法陣? ということは、魔法調合は、魔法?」

「さあ…………」

そして、薬草っぽい草は、白い粒子になり、形を変えていく。

――――ほんの数秒で、瓶に詰められた、ポーションみたいなものが完成した。

「…………これは、本当に調合士泣かせです」

「そうなの?」

「こんな感じのやつを作るならば、薬草を乾燥させたり、蒸したり、絞り出したり、蒸留したりという動作が必要ですさらに入れ物も必要ですし、調合環境も整えなければいけません。そんな気を使う、長時間に及ぶはずの調合が、こんなに簡単に、すぐに終わるんですから」

「……なるほどね」

優真とリンは「『魔法調合』はすごい能力だ」と、理解した。

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