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寡黙な彼女と許嫁と俺と  作者: 芳香
8/10

寡黙な彼女は忍びのランチタイム

「災難だったな、圭。まあ部活動の問題が解決されてよかったじゃねぇか」


「なんだよ裏切り者」



西島会長から解放された俺と隼人は教室に戻ってきていた。

生徒会としての活動は今日の放課後からスタートするらしく、俺達が生徒会役員として所属したことは、新聞部発行の藤沢新聞にて発表されるそうだ。



「関わるなとか言っといて、めちゃくちゃ橘と俺をくっつけようとするのはどうかと思うぞ」


「なんかお前の反応を見てると楽しいんだよ」


「お前に災難が訪れる事を願ってるよ」




ーーーーーー




あれから授業を受けて、昼休みになった。



「おい圭、飯食おうぜ」


「一馬も入れて三人で食おう」



弁当箱を持って三人で屋上へと向かう。

この藤沢高校は、数ある高校の中で屋上が開放されてることで有名だ。

これまた西島会長が生徒会長になってからなのだが。


屋上に着くと既にもう生徒達でごった返していた。



「おいおい、この中で食べるくらいなら教室の方が楽しめるんじゃないか?」


「屋上で食べるのが心地よく感じるのは人が少ないからだもんな」


「この高校で屋上で昼食をとる割合は約4割くらいらしいな、つまり300人くらいだな」



水筒を持ってきている俺はとりあえず座る場所を確保して、隼人と一馬の二人は自販機にジュースを買いに行った。

とりあえず弁当を広げて待っていよう。

俺はスマホを見ると通知が一件来ていた、美羽だ。


『高校初お昼!!』


その一文と共に写真が送られていた。

美羽も美羽なりに高校生活を楽しんでいるらしい。

当たり障りのない返事を送りスマホをしまうと、気付いたら前に人が立っていた。



「こんにちは新田くん、ちょっといいかな?」


「あ、はい」



神田先輩だった。

相変わらず可愛い人だな、周りの男子が見蕩れている。



「新田くんに今日の放課後から活動するとは伝えたけど、集合場所を伝えていなかったから」


「ああ、そういうことですか」


「放課後は生徒会準備室に集合して欲しいの。で、早速お願いなんだけど…」



神田先輩は顔の前に手を揃えて



「橘さんなんだけど、どこを探しても見つからなくて…会ったらこの事を伝えておいてくれるかな?」


「そういうことですか、いいですよ」


「ありがとう新田くん!」



神田先輩はにっこりと笑って友達の元へと駆けて行く。

もう運命なんじゃないかと思うくらい橘と近づかせる環境をなんとかしたいぞ、おい。

俺は帰ってきた隼人と一馬に生徒会の用事があることを告げ、橘を探す事にした。



「神田先輩が見つけられなかったのに俺が見つけられるとは思えんがなぁ」



今日が二日目とはいえ、橘の虜になる人は少なくなかった。同学年の男子は名前を聞いて知らないと答える人は既にいないだろう。

そんな橘が目立たないわけがない。見つからないということ自体がおかしい。

ならば意図して本人が隠れているということになる。



「学校で隠れられるところか…」



いや、そもそも二日目の俺がこの高校に詳しい訳がない。だけどそれは橘も同じか?

頭の中で試行錯誤しながら歩き回っていると、非常階段の隅の方。座り込んでる女制服を着た人が見えた。



「やっと見つけたぞ」


「・・・」



俺の声で初めて気付いた女生徒、橘里奈はこちらへ振り返り無言で見つめてくる。



「何度か顔を合わしたけど自己紹介がまだだったな、俺の名前は新田圭だ。同じ生徒会役員としてよろしく」


「…よろしく」



弁当箱を片手に、たこさんウィンナーというなんだか彼女に似合うおかずを食いながらの返事を貰えた。

…そっちも名前を名乗ったらどうなんだ。



「神田先輩からの伝言で、今日の放課後に生徒会役員は生徒会準備室に集合だそうだ」


「・・・」



彼女は無言で頷く。

なんていうか、顔は可愛いのにどうして愛想がないというか…もうちょっと会話のキャッチボールみたいなのが欲しいんだよな。



「まあそういうことだ、んじゃ」



どちらにしろ、彼女とはあんまり関わりたいので早めに退散させていただこう。

そう思い、廊下の方へ戻ろうとしたところで



「ちょっとまって」



予想外にも彼女の方から声をかけてきたのだった。

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