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寡黙な彼女と許嫁と俺と  作者: 芳香
2/10

俺が惚れることなんてないんだからな

「姉貴、この新しい制服に身を包む弟に何か一言お願いします」

「はいはいおめでとう、朝ご飯はまだ?」


姉貴の家に来てから一週間経って、今日は記念すべき藤沢高校の入学式だ。

この家に来てからというものの、俺は朝昼晩のご飯の用意から洗濯、掃除まで全てをこなしている。

独身貴族を目指す身として、小学生高学年頃から心得てる訳なんだが…

このままだと姉貴ダメ人間になるんじゃね?


「姉貴、俺世界の理に到達したかもしれない」

「んで飯は?」

「これ、出来たから運んでくれ」


今日のメニューはベーコンエッグとか、パン、ヨーグルトといった普通の朝ご飯といった感じだ。

この家に来た翌日の朝にご飯と味噌汁といった朝食を出したら文句を言われたから、パンにシフトチェンジした。

ちなみに俺は和食大好きです。


「いただきます」

「いただいてくださいませ」


俺はベーコンエッグから手をつけ始める。

うん、やっぱ俺の料理は美味しいわ。


「圭、そろそろ冷蔵庫の中身がすっからかんになってきたから、入学式終わったら食材買い足しておいて貰える?」

「わかった、ちなみに今日の夜飯はなににしましょう」

「唐揚げ」

「りょうかーい」




ーーーーーーーー




「いってきまーす」


春のこの季節というのは暖かくも寒くもなく、俺が一番好きな季節である。みんなも分かってくれるだろうか?あのYシャツに滲む汗の気持ち悪さを。

あれが無いというだけでこんなにも目の前が輝いて見えるんだからな。


ここから藤沢高校まで徒歩で行くには遠い為に自転車で通うことに決めていた。

しかし、初日に限り徒歩で通えということらしい。

それ決めたやつ今すぐ俺の前に出てこい、優雅な朝の時間か減ってしまったではないかぁあああ!!

といっても、スマホのゲームをやっているだけなのだが。

しかし、俺は新たな高校での生活でエンジョイできるのだろうか?

皆さんご存知ないだろう村から出てきた身であるが故に、都心の方々との感覚の違いもあるだろうしな。

ただ、男という人種はこれで何とかなるのだ。

そう、俺が家から持ってきていた秘宝『エロ本』!

これを無言で差し出してしまえば相手は俺なしで生きていけない体になってしまうのだ。俺、罪な男だな。


「ちょっとあなた」

「ん?」


俺が新たなライフ計画の妄想にふけていると、後ろから声がかかる。

おい、なんだが可愛い声じゃなかったか?

声がした方へと振り返ると、同じ制服に身を包んだなんとも the学園のアイドル といったような顔立ちの子が立ってた。


「えーっと、なにか?」

「死ぬわよ」

「へ?」


彼女がそういうと同時に車のクラクション音がする。

俺は慌てて歩道の方へと避けた。あぶねー…

村の方から少し出たところにも信号はあったが、車が通過することなんてないから、無意識に信号無視してしまっていたらしい。改めないとな。


「すまない、助かった。もう少しで俺は入学早々事故に遭い入院、そして華やかなぼっち生活をエンジョイするところだった」

「そう、そっちの方がよかったかしら」

「痛いからいやだな」

「そう」


会話を交わすと彼女は青になった信号を渡っていった。

一緒に行くほどの仲であるわけでもないし、俺はなんとなく距離を空けてから足を進める。

ふむ、都心の方でもこうして声をかけるような優しさを持ち合わせている人もいるもんなんだな。認識を改めないと…

めっちゃ偏見だったか。


「お前も惚れたか?彼女に」


これまた同じ制服に身を包む野郎が話しかけてきた。いつの間に隣にきたんだよ。


「俺の名前は堀田隼人、お前は?」

「俺は新田圭」

「よろしくな、ところでやつに惚れたのなら俺は早めに引くことをオススメするぞ」

「それは勘違いだ、安心してくれていい」


何故なら俺は未来永劫独身貴族であるからな!

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