ぼっちは辛いよ
「姉貴が大学で首席だったとは初耳だったよ」
「私としては圭が生徒会に入ること自体ないと思ってたけどね」
姉貴はサラダをほおばりながら、適当な調子で返答してくる。
あれから初日は特に仕事もなく、近くに迫る体育祭までは大きな仕事はないらしい。
これから一週間くらいは放課後少し残って雑務をこなすだけで良さそうだ。
「体育祭が間近になったら少し帰りが遅くなるかもしれないから、少し待ってもらうことになるかもしれない」
「あ、じゃあお菓子買い足しておいて」
「またそんなんばっか食うのか」
「肌もぴちぴちだし、太ってもないし大丈夫」
まあ確かにそうだけども。
夜飯が用意できない分、大人しく言うことを聞いておいた方がいいか。
生徒会の仕事は昼休みこなして、放課後隼人達と遊んだ帰りに買って帰るか。
ーーーーーーー
翌朝、自転車を漕いでると約束をしてないが橘と初めて会ったあの横断歩道で隼人と会う。
「おはよう、圭」
「ああ、おはよう隼人。早速だが放課後は暇か?」
「すまんがバスケ部の仮入部期間でな、いかなきゃなんだ」
早速予定が丸潰れだ。もう仮入部期間が始まってたとは思わなかった。ってことは、一馬も新聞部に行くということか。
「俺ってぼっちだな」
「いきなり何言ってんだお前」
「いやなんかな、話せる相手がこんなにも少ないんだなって実感してたんだよ」
「なんか頑張ってくれ」
いいんだよ、俺には隼人と一馬さえいれば…
クラスに着くと、一馬は既に登校していてカメラの手入れをしているようだった。
「おはよう一馬、お前ってそんなガチだったんだな」
「おはよ、こんくらい標準装備だろ?」
「いや、お前写真部かよ」
その後、一馬は授業中もいじり続けてた。
けど由莉たんに数分経たずに没収されてて羨ましいなって思った。
ん?なんで羨ましいかって?
可愛いは正義だからね、仕方ないね。
昼休み、俺は生徒会室へと足を運んでいた。
生徒会室には、西島会長に神田副会長、渡部先輩がいた。
俺も自分の席に座り、弁当箱を開封する。
すると、渡部先輩がひょいと覗いてきた。
「うわ、新田くんの弁当やば!お母さんが作ったの?」
「いや、俺ですよ。料理は嫌いじゃないので」
「料理できる男子はポイント高いよ!うちの見てよ、購買のパンだよ!?」
YO!YO!みたいな感じの喋り口調で面白いな。
テンション高くて落ち着かない人だけど、なんかこっちまで元気が貰える。
「よければおかずあげましょうか?」
「天使かあんたは!」
ありがたやー、ありがたやー。と、コロッケを1つ持っていく。
口に入れると、美味しいと言った感じの表情をしたので気分が良くなる。
「新田くん、僕にはないのかな?」
「西島会長、よければどうぞ」
意外な人までおかずを貰いに来た。
なら私もと神田先輩まできて、おかずがひょいひょいと持ってかれる。
まあ、全員喜んでたから悪い気はしないけども。
「じゃあ新田くん、これまとめておいてくれる?」
「はい」
神田副会長から書類を受け取ると、手早く種類分けをする。
こういう作業は俺にとっては得意なものだ。
西島会長は、誰になにをやらせれば最高のパフォーマンスを発揮できるのかを見極める能力があるらしい。
さっきから回ってくる仕事は自分の得意なものばかりだ。
「よし、終わった」
「お疲れ様、昼休みにきて今日の仕事の分を終わらすなんて、デートの予定でもあるのかな?」
「そんなこと有り得ませんよ、俺はずっと独身です」
「君の容姿なら告白の一つでもされそうだ」
西島会長のそのイケメンさで言われたらお世辞にしか聞こえないです、てかお世辞だけども。
とりあえず生徒会の仕事も終わらせたし、放課後は一人でショッピングに行こう。