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寡黙な彼女と許嫁と俺と  作者: 芳香
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プロローグ

閲覧ありがとうございます。

初投稿なので文章に関しては大目に見てください。お願いします。お願いします。

「無事産まれました、可愛い男の子ですよー」

「無事産まれましたよ、可愛い女の子です」


人口が少なく東京郊外にあるこの村で無事生まれました私、新田圭になる予定の者でございます。

そして、この隣に可愛い顔をして眠っていらっしゃるベビーが遠藤美羽になる予定です。

さて私、新田圭が置かれてる状況を今見ているあなたに、赤子の姿で忍びないが語らせてもらおう。


美羽のお家である遠藤家は代々この村の村長を務めており、この平和である環境を築かれてきた。

今の村長である美羽の父親、豊さんもこうして遠藤家の長男として生まれ、村の代表として務めている。

村長は男が引き継ぐ決まりなのだが、美羽は女の子だ。


…では誰が村長を引き継ぐ?


そんな疑問が思い浮かんだんだ俺は。

そんな時に俺と美羽の顔を見に来た俺のパパ上らしき人と豊さんが病室に入ってきたんだ。

奴らはやれ可愛いだの、こっち向いてだの親バカっぷりを見せてくれたわ。

だが急に真剣な顔をして豊さんが言ったんだよ。


「お前ん家の赤ん坊を村長に継がせたいんだが」


俺は頭が真っ白になったよ。

生まれた瞬間から俺はこんな寂れた村をおさらばして、東京の都心で独身貴族でやり手のビジネスマンとして活躍するんだと決めたんだよ。

ふざけるなぁぁぁぁあああああああ!!!

俺は抵抗してやる、拳で、全力で。なんつって。



ーーーーーーーーーーー



っていう赤ちゃんなのに自我があるっていう妄想を膨らませていた私中学三年生新田圭です。

まあもう一週間なくして高校生になるわけなんだが。

美羽は村から一番近い高校に決まったらしい。

ん?お前もそこじゃないのかって?

確かに俺の家族、遠藤家含めみんながそう思っていただろう。しかし、

俺は試験合格発表日まで奴らを騙し続けた。抵抗してやったんだ未来に。

このままいったら決められたレールの上で一生を過ごすんじゃないかって思ったんだ。

…後悔なんてないんだからね?ないんだから!!


んで都心にある高校を受けたんだが結果は合格。やったぜ!

しかし家族に話したらパパ上はキレるし、ママ上は困惑してまさにカオス状態になり結局はお前なんて知らん状態になった。

しかし全ては計画通り。

実は俺には姉貴がいて、姉貴は大学に行くにあたって今は都心の方に住んでいる。俺が受けた高校はそこから自転車で通える距離なのだ。

もう姉貴には話をつけてあるから家を出れれば完璧だったのだ!


「ってなんでこんな回想を繰り広げてるんだ俺は」


妄想にふけている間に次の駅が東京駅だったらしい。

急いで家から出てきた為に荷物は少ない。着替えも全然ないし買わないとな。

先の事を考えてると、某SNSの通知音がした。美羽からか。


『おじさんから話は聞いた。高校楽しみにしてたのにバカ。』


返信は短く ごめん。 とだけ送った。

今更何言ったってあいつの事だから無駄だろうと思った。

もう家族とも顔を合わせ辛いし、引くに引けないんだよな。これも将来のためだ、許して欲しい。

村に万が一戻ったら高校卒業の後に、許嫁の美羽との結婚、果てには村長をやらされる。

俺の夢とは程遠い。独身貴族のビジネスマンになる為には犠牲はつきものだな。





東京駅〜、東京駅〜という馴染みのないアナウンスと共に俺はキャリーバッグを引き姉貴との待ち合わせ場所に向かう。

人混みの中を掻き分け着いたが、流石は姉貴である。まだいない。


「わけないだろバカ」


後ろからチョップが飛んできた痛い。


「時間なんて概念姉貴には無いものだと思ってたんだが、認識を改めないとだな」

「家入れないぞお前」

「お姉様すみません、荷物お持ちします」


さっきまで買い物にいってたであろう荷物を空いていた片手で受け取る。


「それは今日から圭が使うタオルセットとか洗面器ね。どうせ用意してないだろうから」

「よく分かっていらっしゃる」


俺が持ってきた荷物はちなみに新しい高校の制服、私服数着、エロ本以上である。

人間生きてれば何とかなると思ったんだよな。決して他力本願なわけじゃない。


「荷物はとりあえず私の家まで運ぶか。その後夜ご飯の買い物行くから付いてきて」

「へいへーい」


姉貴の家までまた電車に乗ることになった。

窓から見える街並みは村で見てきたものとはまた違って、ずっと夢見てきた都心の街並みに興奮してしまうぜ…

敷かれたレールから外れた人生も悪くないな、と思った。

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