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家族小景シリーズ

家族小景「四つ葉のクローバー」

作者: すー

「ショウ、あったー?」

「なーい!」

 ショウはお母さんに返事をした。

 外の風が心地よい、ある5月の日。

 お母さんとショウは、田んぼの横のあぜ道に、四つ葉のクローバーを探しに来ていた。

「どこにあるかしらね」

 お母さんが真剣なまなざしで地面に生えたクローバーをかき分けている。

 探しても探しても、あるのは三つ葉だけだった。

 ショウは探すのをやめて、あたりをのんびりと眺めた。

 チュンチュンとすずめが飛んでいく。

 小さな蝶々(ちょうちょ)がひらひらとショウの目の前で舞う。

 田んぼには植えられたばかりの稲の苗が、ちょこんちょこんと泥の中に浮いている。

「ちょっとショウ! まじめに探しなさい」

「ふわぁーい」

 気のない返事をして、ショウはあぜ道に広がるクローバーを見た。

 すると、一点、そこだけ何か違うことに、ショウは気が付いた。

 ひっそりと葉を広げた四つ葉のクローバーだった。

 気合を入れて探しているお母さんには見つからず、のんびり遊んでいたショウには見つかるなんて、神さまもなかなかのいたずら者だ。

「お母さーん、あったよ」

 ショウは四つ葉のクローバーを指さした。

「本当!? よく見つけたわねぇ。偉い偉い」

 お母さんがとびきりの笑顔を浮かべ、そっと茎を折った。

「しおりにして、宝物にしようね」

「うん!」

 お母さんとショウは手をつないで、家へと帰っていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 家族小景シリーズ、全て読みました。一番心に来たこの作品に感想を書かせていただきます。 なんだか無性に親孝行したい気持ちになりました。ありがとうございます。
2018/01/30 20:30 退会済み
管理
[一言]  とても親近感を感じました。  読み終わったあとで、何とはなしに笑顔になれる、素敵な作品でした。  ありがとうございました。  
[一言] 微笑ましい情景が目に浮かびます。 四つ葉のクローバーって、ふとした瞬間に見つかるときがありますよね。 親父になっても私はまだ探しています(笑) いつまでもそんな心を持っていたいものです。 …
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