これからのお話
「なんていい色艶なんだトマト!!」
「いい加減にしなさいよ!!」
……全く。いい加減にするのはリリィの方だろ。いっつもいっつも人の邪魔ばかりしやがって。
勇者勇者ってそればっか。俺にはこの愛しい畑があるんだから、それをほっぽり出して旅になんて出られる訳がないじゃないか。
それに、外の世界を知って見聞を広め――なんて高尚な考えは俺にはないし。
正直、世界の情勢よりも今日の晩飯の方が気になるっつの。なんたって、昨日、大量の肉が手に入った筈だし。
肉の塊を直火で焼くか……とろとろに煮込んだシチューか……それとも、この間野菜で作ったソースがそろそろ食べごろの筈だし、それを付けて食べるか……。
「あ~……今日の夕食、楽しみだな~……」
都会は恐くて物騒な所だと聞く。こんなに充実した幸せな日々を過ごせるのは、のんびりとした田舎だからだろ。
平和万歳!!田舎最高!!
俺は田舎者として、これからもこの村で暮らして行くぜ。
一週間くらいで終わるだろうと思っていたのに、まさか一年もかかるとは……
……放置していたからなんですけどね。
取り敢えず、これにて完結です!
初めての「完結」がコレというのも複雑過ぎる心境ですが……
勇者が皆勇者としての自覚があるわけじゃないよね。というお話。




