表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

ヒドクムシアツイ日

今日は晴れの日、学校・・・



学校は部活があるから普通に出席するけれど、正直な所好きではない



別に授業が分からないとか、先生が嫌だとかクラスメートと会話するのが面倒くさいとかそんな理由ではない



ただ・・・景子と会話する機会がないから嫌なだけ



クラスは一緒、席もそこそこ近いし・・・そんな物理的理由じゃない



入試で一位の点数を出したワタシは入学式に入学生代表として挨拶をした



その後、入学初日で自称取り巻きと非公式のファンクラブが現れてしまい、景子と一緒に居られなくなってしまったのだ



最初はワタシはそんな事は一過性のモノだろうと、直ぐに終わると笑っていたのだが・・・ワタシの予想は大いに見事にハズれてしまう



なんでも、ファンクラブは日に日にその規模を拡大させ続けているらしく、景子曰わく、入学から三週間ほどで既に新入生の内80名以上が入会し、上級生の中にも会員に所属する人も少なくないらしく、かなりの大所帯になっているようだ



別にワタシは何も関知してないのに・・・



彼女達、取り巻き及びファンクラブ会員らは勝手気ままにワタシの周りを居続けている



ワタシも拒否を示せば良かったのだが、そんな時でも無駄に相手を作らない性格が災いしてか、彼女達を拒絶する事が出来なかった



いつか何かの役に立ってくれるかもしれない、そんな甘い事を考えて何も言わずにしていたのも仇となってしまったのだから、ワタシにも責任があるのだけれども・・・





※※※※※※





ワタシが学校で彼女達から解放されるのは、授業中と部活の時だけになる



・・・但し、部活の時は取り巻きだけでなく一般のミーハーなギャラリーも観客として観ているので、とても自由とは言えない



何をするにしても一々歓声が上がることが、どれほどにワタシの平静を奪っているのか・・・彼女達は考えてくれはしないのか



___無理、なんだろうなぁ・・・



そんな事をついつい考えながら正面からワタシを突破しようとした年上の相手から苦もなくボールを奪い去って、即座にシュートして得点を入れた



観客の喝采と息を呑む先輩方の表情から状況を察する



どうやら、ワタシは無意識の内にまた1人部活の先輩の自尊心を傷つけてしまったらしい



ワタシの景子と話しが出来ないイライラを、八つ当たり紛いに先輩にぶつけてしまったようで、それはとても申し訳なく思った





※※※※※※※




授業中は、とても平穏を感じられるからある意味好きな時間だったりする



先生の話を話半分に聞きながら、視線はいつも景子を探している



景子はいつも百面相していて、喜怒哀楽を言葉にしていないのに相手に伝えられる素質がある



授業中はそれがとてつもなく顕著に表れるから、尚のことこの時間が好きになった



景子は、自分が分かる内容の時ほど機嫌が良く元気に先生の話に頷いてノートを取っている



が反対に分からない内容の時には、眉間に皺を寄せて難しいと呟くように頭を抱えながらノートを取る



興味がある内容ならば、上半身を前のめりに

してノートを取っているし、興味がない内容だと頭が少し垂れ下がり欠伸を噛み堪えながらノートを取る



ワタシにとって、彼女の一挙手一投足を見ているのはいつも楽しいし、何よりも微笑ましいと感じていた



1日の授業が終わってしまうと、あとはワタシにとって苦痛以外の何ものにもならない



取り巻き達からのたわいもない世間話に、作り笑いで堪えて嫉妬と羨望の眼差しを浴びながら部活に励んでは、ボールをゴールに射れる



毎日がそれの繰り返し



そうして、ワタシには景子が全てなのだと言う事をいつも改めて実感する



あぁ、明日は雨が降らなってくれないだろうか・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ