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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者は強くて凄いのだ

作者: sisousi.kenta

村に悪霊が現れた。とりつかれ少女は暴れまわり、誰も手に負えない。怪我人も出ておりなんとかしてほしい。それが今回の依頼だ。


私は助手と村に赴き、聖水による除霊を行う。

可愛そうだか少女は木に縛られている。


除霊は2人以上の人数がのぞましい。

流派にもよるが、清めらた水を清められた杯に注ぎ、少量の酒を注ぐ、そして神に祈る言葉をつぶやき、水の表面に指で神字を書き、祈りを続ける。それが悪霊の嫌がる聖水となる。その水を悪霊につかれた人に少しづつ注ぐと悪霊は苦しみだす。


「魔の世界の者よ、疾くされ」

水を少量づつかけつつ怒鳴りつけるように言葉を投げつけると悪霊につかれた者は暴れ出す。

何か言葉をつぶやき始めるが人間の言葉ではない。


さらにそれを続けると悪霊の力により石やら食器やらが飛んでくるがひるんで除霊をとめてしまうと、相手にも息をつかせてしまう事になるし、さらに反撃も強めてしまう。


悪霊の近くにあるうちに水が異臭を放ち腐り始めるが、それにあわせ新たに聖水を作り直す。

その間は助手が祈りを捧げ悪霊を牽制する。そうしなければ悪霊は回復し、最初からやり直す事になりかねない。


それを繰り返す。除霊とは主にそのような流れであり、イレギュラーがあればその都度対処をする。

一歩間違えば失敗どころか大怪我や死ぬ事だってあり得る。


今回は10時間に及ぶ除霊により、ようやく悪霊を退治する事が出来た。極限の緊張の中のこと、私と助手は疲れ果てその場に座り込む。

杯はもう使いものにならず。腐らされた水は私達の着る呪いを防ぐ衣服を腐食させている。助手の衣服も腐食し目のやり場に困ってしまう。  

年頃の女性だが怪我もたえない仕事、よくついてきてくれている。

ケガも絶えないと言ったが本当は寿命さえもすり減らしながらなんとか追い払う事が多い。悪霊に殺される事もあり、そうならなくとも我々の業界は50まで生きる人は稀であった。


助手は生まれつき目がほとんどみえ無いがその分鼻が効く。異臭の中少し顔をしかめたが少女を悪霊から救えた喜びで笑顔を見せる。

そんな助手だからこそ、転職を勧めた事は何度もあるが彼女は頑なに聞かなかった。


今回の報酬は300万であり、300万という金額は大金ではあるが使用した道具等考えると赤字になる事も多い額であり、今回も赤字であった。助手には贅沢もおしゃれもさせてやれない。その金額さえも除霊がすんだとたんゴネられる事もある。


最初の悪霊はあちらの世界に返した。だから他に悪霊がいたのかも分からない。助手が目が見えない事をみて村人に悪い心が浮かんだのかもしれない。村の一人の男が木の棒を振り上げ向かってくる。私は疲れ果て動かない体をなんとか起こし助手を庇った。いたみを覚悟するがその痛みはやってこない。


我々に襲いかかった男は、勇者一行により退治されていた。勇者は我々に襲いかかった男についた悪霊を一刀のもとに切り捨てのだった。悪霊のみを切り裂き、男には怪我一つさせていない。

「こんなモンスターじゃ大した経験値も貰えないが、僕は勇者だ、放ってはおけない。」

とよくわからない事をつぶやいた。


その後腐った水により異臭を放つ我々は風呂に入らされた後、アコギな商売をしているからこんな目にあうのだと勇者様御一行に散々説教をされ、300万は村人に返される。

勇者一行は村人から遠慮を重ねたのち報酬として1万だけを受けとっていた。


助手はまだやり直されるからこんな商売はやめる様にと私から引き離される。

助手は嫌がったが勇者の仲間の女性が「あなたのためだから」と説得する。

勇者一行は王命を受けた一行であり、私には逆らえる力はない。私は何もいいかえせずこうべを垂れる。

去り際助手はすがるような顔で私を見つめた。見えないはずのその瞳から私は目をそらした。


私は体をひきづるように帰る。帰り道のことだった、

「よくもだましやがったな」

村の住人に後ろから鈍器で殴られる。

これまでも狙われた事がないではない。悪霊退治にそれ以上に金がかかるだけであり、300万は人の心をまどわす大金だ。けれども勇者一行であれば一万を貰うことも躊躇するような手間なのかもしれない。

私が愚かでそれに弟子を巻き込んだ。今日それが証明されてしまった。

今日私の心は疲れ果ており身を守る事は出来なかった。


川に投げ捨てられる私を悪霊達が狙っている。

川のそこは悪霊達の世界。今か今かと私が死ぬのを待っている。悪霊の中には見知った顔もいくつかある。

厳しい仕事、世を恨む同業者は多い。


絶望のまま死ぬと悪霊になる。私が悪霊になれば村を滅ぼしてしまうかもしれない。都合よく勇者が通りかかることなどそうある事ではない。

私は助手が私から引き離された事を思い出し絶望しそうになる。

けれど私は最後を助手をこの道から遠ざける事が出来た事を思う。息を出来ずに苦しい事すら感じなくなるなか私は最後の最後の力を振り絞り笑った。


悪霊達は悔しそうにしていた。




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