表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生スキル『貪食』  作者: とまてるの
第一章因縁
2/29

第1話忌まわしきスキル

「落ち着きなさい!」


神父ともう1人の修道女は暴れる修道女を抑え、宙に浮かぶ血を操り紙にスキルの書類を書き両親へと投げる。

フラフラと宙を舞う書類を父は受け取り、俺と母の手を強く握り2人を両手で庇いながら逃げ足で教会から出ていった。


「2度と現れるなッ!!この悪魔の手先ィー!」


荒れ狂う修道女は俺に指を差し、口から唾を飛ばす程激昂していた。


「今はひとまず帰るぞ」


父は運転席へ、母と俺は馬車に乗った。

一体俺のスキルはなんなんだ?

そんな疑問が残る。


「お、お母さん……」


母は馬車には座り体を丸め泣き続け呼び掛ける俺を見ると、飛びつけように俺を抱きしめた。


「絶対に捨てないから!大丈夫だから!」


そう言い続ける母に俺は戸惑いを隠せない。

一体どんなスキルを持っていればこんな反応になるのだろうか。

まるで俺が化け物みたいじゃないか。


そうして自分を責めればいいのか考えていると家に辿り着いたのか、馬車は勢いよく止まった。

父が運転席から降り馬車の扉を開け母に手を差し伸べ、母は父の手を掴み震える脚をゆっくりと地面に着けた。


「カイ」


父は俺に手を差し伸べ掴むと引っ張られて胸に強く押し付けられ、周りをしっかりと確認し家へと運ばれた。


「エリ、まずは窓のカーテンを、扉の戸締まりもしてくれ」


「は、はい」


母は目から溢れる涙を震える落ち着かない手で拭い、急いでカーテンをしめ外部から見られないように遮断し扉のロックを掛けた。


「カイ、お前の部屋に戻るぞ」


「わかった」 


一体父と母がなにからそんなに怯えているのかわからず俺は父に言われた通りに父と共に二階へとあがった。

階段をあがる際に父は倉庫から自分の剣を取り出し持ち運びながら二階の俺の部屋へと入った。

そして母が後から部屋に入る。


「戸締まりは全部したわ」


「わかった」


そうすると父は血で書かれた書類を母と読む。


「そ、そんな……!」


母は手で顔を覆い不安と恐怖で考え始めた。

反面父は至って冷静であり、俺の肩を掴み顔を近づけた。


「カイ、よく聞け」


「お前のスキルは『貪食』、危ないスキルなんだ」


「お、俺はどうすればいいの!?」


「落ち着け、まずは無くなってもいい物を使ってお前がこの力を使えるようにするんだ」


そう言って父は銅貨を俺に差し出した。

すると意識もしていないのにも関わらず、銅貨は徐々にねじ曲げられ完全に硬貨として機能しなくなった。

その瞬間、スキルの扱い方が自然に記憶に刻まれた。


「あの教会の男の人は俺の知り合いだ。だから危険なスキルを持っているお前を兵士には言わない」


「その危険なスキルを弱くしていくんだ、そしたら友達も出来るし父さんみたいに恋人もできる」


「今のお前には父さんと母さんがついてる、安心しろ」


俺は黙って父さんに抱きつき手が父の背中を触れていても父はなんともなかった。


「カイちゃん?きっと平気だから」


母が後ろから俺を抱きしめ俺は自然と涙が出てくる。

手が震える程不安を感じていて捨てられると思ったが2人は俺を温かく迎えてくれた。

だから自然と涙が出ていた。

それと同時に俺の中で見放されたくないという気持ちが強くなりなにかが壊れた



---7年後



場所は自分の部屋。

あれ以降俺は完全に家に閉じ込められるようになり外部の情報は新聞だけ。

だが時々新聞をスキルで破壊してしまい大きく破損することもあった。

酒瓶や壊れてしまった椅子などを使って『貪食』を慣れさせようとしていき、7年の歳月をかけて俺はかなり上手く制御できるようになった。

そして少し前まで俺は物体を触れば破壊するスキルだと思っていた。


だが本で書いてあった通り年月と使用によって理解度が変わっていき、このスキルの本当の仕組みを理解した。

このスキルは物体の特質、鉄を喰らえば肉体を喰った分だけ鉄にできる。


もう一つはスキルを持っている生物を喰らうとその力を奪い取れること、そしてその力を使えるようになること。

しかし欠点があり喰らったスキルは本来のスキルより弱くなること。


「カイ、久しぶりに食卓に出よう。一緒に晩御飯が食べたい」


「俺のスキルで迷惑をかけたくないからいい」


「……もう十分制御できるようになったろ?」


そう扉越しに問いかける父さんを無視して扉から出される温かい食事を食べる。

俺は恐いのだ。

この手で、このスキルで人を殺めてしまうのが。

そして食器を手に取り口に運ぶ。


ポトッ

食べ終わる頃にフォークで刺していた肉が床に落ちる。


「あああああッ!!!!」


俺は大声をあげ吸収してしまったフォークを指先から生み出し、飛び回るハエに向けて投げフォークはハエを突き刺した壁に刺さった。

怒りを露にするとスキルは全く言うことを効かなくなり、他にも少しの不安や恐怖でも効かなくなってしまう。


こういう時は本を読んで落ち着くか


俺は深呼吸をして本棚から恐る恐る震える指先で本に触れ手に取り本を開いた。


こんなので落ち着けるわけがない


そんな不安が俺を押し潰し木の板で防がれている窓に向かって歩き出した。


「ここから出せ!!俺を出せ!!」


木の板を殴り続け拳の皮がめくれ血が流れても殴り続け疲れ果てた俺は壁に手を着く。

外に出たい。

でもこのスキルで人を傷つけてしまうのが嫌だ。

そのどうしようもない不安と恐怖がこのスキルを更に強くさせる。


「前に進まないとな」


器にある肉の骨を喰らい奥歯で骨を砕き飲み込んだ。

そして手先から骨のフォークを作り出し食事を終える。


この力を使えるようにならないと


俺はドアノブを指先で触れ次に震える手でドアノブを掴んだ。

ガチャッと扉を少し開き鼓動が激しくなりながらも扉を全開にした。

そこにあったのは希望だった。

こんなにも恐怖や不安はちっぽけなんだと、そう自信がついてくると力は収まり弱くなっていく。


「カイ」


父の声がして父の顔を見た。

父の後ろには母もおり、俺は抱きつこうと2人に手を伸ばした。


「制御できるようになったろ?」


「うん……!」


「明日は外に出てみましょうね?」


「うん!」


そうして2人を両腕に抱きしめ2人が小さくなってしまったことを実感した



---数日後



両親の協力で俺は1人で外を歩けるようになった。

久しぶりに出ると近所の2人は亡くなってしまったらしく今は新しい人が住んでいた。

そして俺はこのスキルの力を試す為に森に続く道を歩き到着すると石を掴み取り、草木に潜んでいるウサギに向かって投げつけた。


「キュン!!」


石はウサギの頭に命中し血を流しながら地面に倒れた。

前に犬を喰ったからだろうか、動体視力が物凄くいい。

そうしてウサギを捕まえようとすると自分より年上の青年が俺の前に現れた。


「君、今さっきウサギに石投げつけたよね?」


「別にいいだろ、食べるんだし」


ウサギに近寄ろうとすれば青年が俺の手を掴み止めに入る。


「今の仕留め方は非人道的だ」


「関係ないだろ、これは俺が仕留め俺が食べる食材なんだ」


「あるに決まってるだろ!」


青年は俺を押して怒鳴りつけると俺に向けて手をかざし"風"のスキルを使い激しい風に吹き飛ばされた。

俺は木に背中を強打し腹から地面に倒れ込んだ。


「君の親はどこだ?しっかりと叱って………」


俺はやり返しとして青年の顔を殴り飛ばし、ここから立ち去ろうと背を向け走り出した瞬間だった。

青年は再度俺に向かってスキルを発動し俺は吹き飛び木に胸を強打した。


「この野郎!!」


手先から石を生み出し腕を振るって青年に投げ飛ばすと頭に当たり声を出した倒れた。

ゴツッ!!

倒れた先には土に埋まっていた大きな石ごあり、後頭部をぶつけ大量の血が流れ始めた。


「お、おーい」


呼び掛けるが返事はない。

一瞬で冷や汗とこの先の嫌な想像が思い浮かび脚が震え始めた。

今度こそ両親は俺を捨てる。

そう思った俺は喰らえばスキルを会得できることを思い出し、倒れている青年の腕を掴んだ。


固い皮膚を千切り露出した肉に喰らいつく。

間接は無理矢理千切って骨も残さず奥歯で砕き、脚や腹、臓器、頭までも補食した。

辺り一面が血でびっしゃりとしており血のついた手の平を見る。

渦巻く小さな竜巻が見え強く前に腕を突き出すとスキルが発動し、血で汚れた落ちた葉や土が舞い上がり遥か空へと飛んでいった。


スキルが上達した。


そう思った俺は歓喜のあまりに風スキルを放ちまくった。


この力で俺は生きていく!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ