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事件

二作目

「何があったそんなに急いで………」


「すみません詳しい話は後ですとりあえずきてください!」


 ハルオに手を取られて店を出る、あまりにも切羽詰まってたのかこっちのことを無視しての行動だったが何とかバッグだけ持ち出すことができた。

 ハルオに引きずられるようにして走ることしばらくそこそこ近くの距離から誰かが叫ぶ声が聞こえた。

 まるでそう獣のような、悲鳴のような。

 

「間に合ってくださいよ………」


「ねぇ何があったのか教えてよ」


 事件の緊急性のようなものを悟ったアカネはまたもやそう聞くが返事は来ない、もしかしたら自分たちだけでは対処できないかもしれない問題かもしれない、その場合パスカルは役に立つ。

 そう思ってるとハルオが角を曲がる、曲がった先には衝撃の光景が広がっていた。


「ちょっ!、何をしてるの!?」


 目の前には何やら様子のおかしい女性が虚な瞳でナイフを構えて近くの男性を襲っているような様子だ、あかねはこれが警察案件だと思いながらもその女性に飛びつき女性のナイフを持つ手を抑えその手首に手刀を叩き込む。

 普通の女性ならこれでナイフから手を離すだろうしかしこの女性は普通ではなかった、女性の手首は多少痛がる様子を見せたもののそのナイフを手放さなかった。

 これはやばいと直感で感じたアカネは女性と距離をとって警察に電話をかけようと携帯を取り出したところで気がついた、奥で誰かが倒れてる。


「っ!、ハルオ………恨むぞ」


「すみません……しかしアカネさんならと思い」


 奥で倒れているのは警察官だった、死んではいないようで胸は上下しているが当面は意識は戻りそうにない。

 でも頼まれたからにはやるしかないとバッグを手に取り中から竹刀を取り出す、人を直に叩くものではないが扱いやすいし効果的と持ち歩いてきた護身用の道具だ。

 それを見た大人が何をするのか察したのかとめようとこえをかけてくる。


「君………やめといた方が………」


「大丈夫っすよ、あいつ強いんで」


 クラスメイトの1人がそういうのを簡単に言うと聞き流しつつ集中する、チャンスは一回これで決めなければ終わる。

 女性のターゲットはアカネに写ったようでアカネに向けてナイフを向けて突進してくる。


「手刀がダメならこれならどう?」

 

 突進を軽くいなし交わして通り過ぎ様のナイフを持つ手に竹刀を叩き込んでナイフをはたき落としてそのナイフを女性の手が届かないところに蹴り飛ばす。

 叩き込んだ瞬間ゴキって鈍い音が聞こえたような気がするが気にしない気にしない。

 これでおとなしくなるそう思ったアカネの予想は甘かった。

 女性はしばらくうずくまっていたが突然発狂したように笑い出すとありえないような動きでかかと落としを放った。

 そのかかと落としを攻撃する前に察知したアカネはなんとかかわすがその着弾地点を見て戦慄する、なぜなら着弾地点の地面が凹んでいるのである。


「うわっ!」


 そしてまたありえない動きで着地してすぐに殴りかかってくるのを竹刀で受ける。

 竹刀の竹がミシミシという嫌な音を立てた後、大きく吹き飛ばされて壁に打ち付けられる。


「アカネさん!」


「かっは!」


 肺の空気が一気に吐き出され口から血のようなものが出る、何あの力何かとっさに湧いてきた力みたいなの使ってなければこの竹刀だって折れてだかもしれない。

 それに攻撃を受ける直前何が見えたような明らか人じゃない何かの影が、というかあれだけの威力を直に貰えば確実に死ぬ。

 痛む体に鞭打って打ち付けられた壁から離れた瞬間その壁目掛けて宙返りをした女性が跳び膝蹴り壁に大きな穴が開く。


「あれやばいんじゃないか?」


「そんな……アカネでも無理なんて」


 ガヤのクラスメイトがそんな声をあげる。

 少し待って欲しい、何で私ならいけると思った?私一般人ぞ何ら君らと変わらん痛いげな少女ぞ。

 というか背中痛い、それ以外はそんな大したことないけど骨は折れてないみたいだけどそれはある意味奇跡みたいなものだろう。

 さてどうしたものか、ここまできたから後には引けないんだけど、そう思いつつ見ていると女性が突然苦しみ出した後大きく跳躍建物の屋根を伝って飛んでどこかへと消えていった。


「あっ…………、どっかいった」


 瞬間表情からサーっと血の気が引く。

 理由は主に二つ、逃してしまって被害が増えるのを危惧したのが一つ後は言わなくともわかると思うが背中の激痛だ、これが思ったより痛い。


「いったぁ…………」


 背中の痛みを堪えて竹刀をバッグにしまう、あの警官が目覚めればこの事件を自分がやったと思われかねないそういう面倒ごとは避けたかった。


「じゃあ、私帰るからさ後よろしく」


 そう言って喫茶店に戻ろうとするとワンテンポ遅れてみんなが引き留めてきた。

 いや厳密に言えばみんなではなくその場にいたクラスメート以外のみんな人だけどね。


「いやちょっと待ってよ!」


「何です?家に帰りたいんですけど」


「いやいやどうやったらあれを相手できるようになれるのよ!」


 そう言われて首を傾げる、何がおかしいのだろう大体の運動部のヘルプに出ていただけだけど、そのおかげで大体の武道は使えるしさ。


「それにさっきコンクリの壁に打ち付けられてたけど大丈夫なのかなんともないの!?」


「いやーちょっと背中が痛いですね」


「ちょっと見せてちょうだい!」


 医者を名乗る女性がいきなり背後に回ってくると服の裾を捲りあげ背中を見てきた。

 そうして言葉を失ったまま動かなくなってしまった。


「打撲…………しかも軽い………」


「あのー早くいっていいですか犬が待ってるんであとわかってるとは思いますけどこのことは他言無用で……」


 女性が呆然としている間にその手を振り切って走り出す、喫茶店の前に着くとパスカルは礼儀よく待っていてくれたトイレはしてたけど、仕方ないから。

 バッグから処理具を取り出して回収するとリードを取り外し家に戻った。

 お金置いてくるの忘れたことに気がついたのは家についてからのことだった。

 

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