表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

勇気の死恋

掲載日:2024/02/03

ポツポツでは無くザーザー流れ降る雨の中、傘を差さずに一人、死んだ友の墓の前で空を見上げる。

「何してんだよ・・・まだ引きずってたのか」

声のした方を見る、でも興味が無いから視線を空に戻す。

「はぁひどいな、せっかく傘を持ってきたのに、たく、お前の兄様が優しくしてるっていうのに」

雨が止む、空はビニール越しにありムッとする。

「頼んでいないしいらないし」

「風邪引くぞ雪」

「うるさい邪魔」

友達は風邪なんか引か亡くなった。

無くなったが亡くなったになる。

ずっと続くと思っていた毎日が、ある日を境に亡くなった。

あの時も・・・・雨は降っていた。普通のじゃあない血の雨が。

「好きだったんだ」

「知ってる」

雨は止む様子もない。

蘇るのは昔の記憶、友達は笑ってた、最初の出会いは、こうやって私が彼に傘を差していた。

ポロポロと涙が出てくる、隠す様に拭うけど

「ハッ、こっちも雨模様かよ」

鼻で笑いながら、ハンカチを渡される。

「そんな服の袖で拭いたら、汚れるぞ」

うっぐ、うっぐ

彼はスポーツマンだった、天才とは言わず凡人。

普通の番号で運動場を走っていた。泥に汚れていたけど、人一倍頑張る彼がカッコ良かった。


遠い存在から始まった。

叶うことの無い世界に憧れた。

最初は他人からだった、でもある日。

雨が降っていた時に一人、運動場で練習する彼の姿。

「何してるの?こんな雨の中」

声をかけると彼は私の方を見て

「練習カッコいいだろ?」

ニカッと笑うが私は何を言っているのか分からない。

「雨の中で?風邪引いたら終わりじゃん。馬鹿じゃあないの?」

「いやいや俺は馬鹿じゃない、天才だ。天才だから頑張るんだろ?」

「・・・・・・あっそ、じゃあこの傘あげる」

「え、でも」

「貰っときなよ、どうせ安物の傘だし」

ずいっと渡して逃げるように去った。

今思えば少し照れくさかったのかもしれない。


―次の日―

ボーと木陰で例の彼を見ている。

何故か惹かれてしまうのだ。

「・・・・・野球馬鹿」

コロコロ~

汚れた野球ボールが転がってくる。

「あっ雪さん!昨日は傘ありがとう!後で返すね!!!!!!」

大声で手を振る男。

なんで私の名前を知っているのかと

「何で私の名前知ってんの!?きもいんだけど」

「え、普通に君のお兄さんに聞いたけどー!?お兄さんから何も聞いてないの-!?」

「聞いてねぇよ、あいつの名前だすんじゃねぇ!!」

怒りを込めて、投球フォームでボールを投げてやる。

パシッとグローブに綺麗に収まった事がまた気にくわない。

「ナイス~!!!!!!」

「こっちはナイスじゃないわ!野球馬鹿!」


――――――――

「・・・・・最後は確かさ、アイツは純粋だったんだよ」

「確かにな」

「私を見て、子共のようにはしゃいでさ。横断歩道の先に彼はいた。

手だって届いたかも知れないのにさっ!!!!!!」

「・・・・・・・」

ポロポロ涙は流れ続ける。

重い過去を乗り越えるまでが試練だと。

乗り越える勇気を持つのは、きっかけが必要だと俺の人生経験が語る。

(きっかけに関しては俺が作れるそう、俺の能力ならば)


「横断確認してたのにっぐすっ。青信号だったのにっぐすっ。信号無視で彼を奪ったんだっぐす!私の名前だけ言うだけ言って逃げた無い友がずるいし!!憎いよにいさん!!車もアイツも両方憎い」

思いを告げた妹を強く抱きしめる。地面に落ちるビニール傘。

「雪、お前はずっと苦しむのか?俺があいつなら、雪には笑っていて欲しいと思うんだ」

まだ泣く妹、止まらない妹を俺は抱きしめる。

"大丈夫俺は悔やんでいないよ。だから笑って欲しいって伝えよ。お兄さん。あと一つ言いたい事が"

頭に言葉が響く、聴いた事のある声がし、頬を緩める。

(・・・・・分かった)

俺の能力が起動したんだ。死者と生者を繋げる為にこの場に来たんだ。

俺は墓を見る。



「雪、いいかよく聞け、アイツは雪の笑顔を望んでいる。だから」


ガクッと俺は意識を奪われる。


「お兄ちゃん?お兄ちゃん!?嫌だよ、置いてかないでよ!!」

「"ありがとう"」

「え・・・・?」

「"雪。俺はね楽しかったよ、雪と関わる日々がさ!大好きだった"」

「お兄ちゃん・・・・じゃあない?まさか」

「"俺の名前は恋。ねぇ笑ってよ!もう俺はいないんだからさ。俺のせいで悲しむのは嫌だ"」

大粒の涙が私を襲う。



「恋!恋!」


「"大好きだよ!雪!"」


「うん・・・私も嫌いじゃなかったよ!!」





暗い意識の中で、向こうから見知った男が来る。

「ありがとう、お兄さん」

「どういたしまして」

二人は行くべき所へ歩み出す。


それは現実とあの世。



もう会うことも無いすれ違いだ。



俺が目覚めれば空は晴れている。


快晴だ。しかも虹もかかっている。


「お兄ちゃん、帰ろう」


妹の表情は晴れ笑顔という虹もかかっている。


「ああそうだな」


二人は今を歩み出す。


「ありがとうお兄ちゃん。」

「別に」


「ねえ私お兄ちゃんの能力は好きだけど、お兄ちゃん本体は嫌いだ」


良い雰囲気で終るかと思えば生意気な口、まあこれも妹らしさだが


「はいはい、潰す」


妹は俺から逃げ、



くるっと振り返って


「まっ好感度は大きく上がったよって言ったら信じる?」


END






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ