その1
「ううっ……寒い寒い……。なんで5万も払ってこんな極寒の地に来なきゃ行けないんだよ!」
どうもこんにちは、天の声です。彼の名前はクロ。職業は……響きがカッコ良く、さらに期間限定だと言うことだけで飛びついた『ダークナイト』をやっています。見た目とか容姿に関しては……君の好きに想像してくれたまえ。
「大森林の次は氷の大地か……。はやくLv上げて黄金都市とかで慎ましくダークナイトをやってたいよ。」
彼の現在Lvは25。つい最近まで潜っていた『大森林ダンジョン』が適正Lv18~25だったのでそろそろ経験値が入りにくくなり、渋々この適正Lv26~34の『極寒ダンジョン』にやって来たのだ。
「さて、村に行く前にちょっとだけここのダンジョンを覗きに行ってみますかね。」
彼はダンジョンの最奥に住まうボス討伐の時以外は常にソロで活動している。これは孤高の存在カッケー!などではなく、彼の職業『ダークナイト』が嫌われており、固定パーティを組んでもらえないだけである。
「お、あれがここのダンジョンの管理施設か。」
各ダンジョンの周辺はそこに住まう魔物達が村へ来ないように壁や柵などでぐるりと仕切られており、それを管理する施設が併設されているのだ。
「すいませーん。冒険家1名、お願いします。」
また、クロのような冒険家達のダンジョンの出入りを管理している場所でもある。
「あぁ、君は……1人なのかい?」
クロを相手した管理官は困った様子だ。
「え、なんかまずかったですかね?」
「いや……まぁ、先に冒険者証を見せて貰えるかな?」
冒険者証とは冒険者組合に公式に認められたものがその身分を証明するためのものである。
「分かりました。ちょっと待ってくださいねぇ…………っと、あったあった!はい、お願いします。」
「ええと、名前はクロさんで、職業はダークナイト……Lvは25と。」
「うす。」
「前にここへ1人でやって来た冒険者もダークナイトだったよ。やっぱり、この職だとパーティを組むのは難しいのかねぇ。」
「スキルがスキルですから……まぁ、嫌われるんですよね。仕方ないことですよ。それよりも、もう通っていいですか?」
「いや、大変申し訳ないのですけど……。」
「え?入れないんですか、俺?」
「はい。規則として適正Lv+20以上の方ではない限り、おひとりでココへは入れられないこととなっているんです。」
「ちょ、そんな!前のところはソロでも大丈夫って言われましたよ!」
どうやら今回は違うらしい。
「ここのダンジョン以降では、基本的に複数人のパーティでないと入れられないという規則は付き物ですよ?これも冒険者方の安全のためです。」
「し、知らなかった……。ど、どうしよう。」
情弱ボッチにはよくあることである。
「そんなに肩を落とす必要はありません。あなたも仰っていたように、ちょうどここへ来る前の『大森林ダンジョン』には無かったルールですので、クロさんのようにソロ活動をしていた為に困っている方が村にいるはずですよ。…………たぶん。」
「……ホントっすかねぇ。」
「とにかく、規則である以上君を通すことは出来ないし、それにこれから先のことを考えると、信頼出来る仲間を作っていた方がいいよ?」
「それはまぁ……、ホントにそうなんですけど。」
やっぱりクロはパーティを組めないことを気にしていたみたい。
「じゃあ、今日のところは一旦諦めますね。」
「あぁ。次は仲間も一緒にここへ来てくれたまえ。」
さて、彼に仲間ができるのだろうか?




