強くなれる
エッセイです。
「誰もお前なんか見ていないぞ。」
この一言が未だに忘れられないのはどうしてだろう。
一番尊敬していた。一番好きだった。
この頃、仲良くしていた先輩と後輩が同時期に辞めた。
誰も頼りにしていなかった自分にとっては、この二人の存在は大きかった。
悩みがあれば相談し、泣いていた日々。
弱かったのかもしれない。甘えていたのかもしれない。
誰かが助けてくれる。自分は愛されている。
甘えても許してくれる仲間がいる。
だけど……。
そう思っていた二人が次の日にはいなかった。
二人は、別の道を歩き出した。
仕事の悩みを誰に相談すればいい?
甘えるなって?頼るなって?
誰も頼れる人なんてもういない。
唯一、一番尊敬し、好意を持っていたある先輩に相談に乗って欲しいと頼んだ。
だけど、断られた。
「同性同士の方が言いやすいんじゃないの。」と。
確かにその方がいいのかもしれない。
だけど、今相談に乗って欲しいのはあなたなの。
少し前までは、いつでも相談に乗ってくれて、食事にも誘ってくれた。
一番信頼していた人の突然の裏切り。
もう誰も頼れないのなら、強くなればいい。
弱い自分を消し去って、強い自分を作ればいい。
その頃かな。
「あれ?こんな子だっけ?」と言われるようになったのは。
私は、これでいいと思う。
強くなった分、みんなから慕われるようになった。
何かあれば、私を呼ぶ声。
過去のあの経験があってこその今の私がいる。
後から聞いた話では、
「二人がいなくなってから強くなった。」「よくなった。」
そう言ってくれた人がいた。
二人には感謝している。
二人と出逢わなければ、いつまでも誰かに頼り弱い自分のままだったから。
自分に自信がなくても、弱くても、いつかは。
絶対に変われることを私は皆に伝えたい。