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プロローグ
はじめに題名ありき。
いえ、題名がすべてです。
この題名を思いついた途端、筋書きも出来ないうちから連載させることに決めました。
どういう話になるかは作者にもわかっていません。
ファンタジーの世界は荒廃していた。
資源が使い尽くされたのだ。
勇者も、魔王も、人外も、そして美少女も数が減り、しかも質が落ちていた。
もともと有限だったそれらのものは、こちらの世界で果てしなく量産されるライトノベルに格好な餌食となり、あまりにも乱獲がきわまったと言ってよい。
しかしファンタジーはけっして無尽蔵ではなかった。
良いものはあらかた、奪い取られてしまった。
いまや。
かの地を大いなる退屈と呼ぶには空虚すぎる感覚が支配している。
新しいことはもはや何も起こらない……かと思われた。
だが。
救いはファンタジー世界とは別の次元、この現実世界から訪れた。
いや、訪ねていくことになる。
いまはまだ、そうなる定めを夢にも知らず、こちら側にいるが。
(続く)